七五三の髪型はどうする?日本髪のマナーや結い方をご紹介
2019年04月25日女の子の子供を持つ親にとって、七五三が近づいてくると楽しみな反面、不安も出てきます。
「衣装は決めたけれど髪型をどうしようか?」と悩んでいる親も多いでしょう。
日本の伝統行事である七五三ですが、和装には日本髪がおすすめです。
今回は「日本髪のマナーや結い方」についてご紹介します。
ぜひ参考にしてください。
目次
七五三の由来は?女の子3歳「髪置の儀」7歳「帯解の儀」
七五三とは、数え年(生まれた年を1歳とする年齢)で女の子は「3歳・7歳」(地域によっては5歳でも行う)に、子供が無事に成長したお祝いと、今後の長寿を願う行事です。
一家で神社に参拝し、感謝と祈祷をするのですが、居住している地域の氏神様に参るのが主流です。
七五三の始まりは平安時代といわれており、定着したのは江戸時代という説が有力です。
その頃は、医療や衛生面の環境が整っておらず、乳幼児の生存率が高くなかったことから、地域において子供の健康と成長に対する思いが強くあったことが氏神様への参拝に繋がりました。
3歳の七五三は「髪置の儀」と呼ばれます。
昔は、3歳までは女の子も剃髪をしていました。
一定期間剃髪をすることで、健康な髪が生えてくると信じられていたためです。
3歳になり髪置の儀を行うことで「赤ん坊ではないほど成長した」という意味を込め、髪を伸ばし始める慣わしでした。
7歳の七五三は「帯解の儀」と呼ばれます。
まだ洋装がなく、着物で過ごしていた時代は、子供のうちは帯を締めず、紐で結んで前を閉じるタイプの着物を着用していました。
今でいう半纏(はんてん)のような着方です。
7歳で「帯解の儀」を行い、この日から大人と同じように帯を締めて着物を着る慣わしでした。
このように七五三には、日本古来の「髪」「和装」が強く関わっています。
伝統にならい、着物を着用し、和風の髪型にする良い機会です。
中でも日本髪がおすすめです。
長い歴史の中で、日本人女性を最も美しく見せる髪型として日本髪は発展してきました。
次項より日本髪の歴史と部位名をご紹介します。
日本髪の歴史と部位名をご紹介!多様な髪型があった
日本髪が発達したのは江戸時代後期からと言われています。
それまでは垂髪(すいはつ)という、髪を下した状態が基本でした。
平安時代の貴族のような髪型です。
髪をまとめたとしても、下げ髪と呼ばれる後ろで1つに結ぶ髪型があるのみでした。
江戸時代に、女性も男性のような髷(まげ)を結い始め、それが様々な結い方や形で広まって種類が増えていったようです。
当時の代表的な日本髪は大きく分けて「島田髷」「兵庫髷」「笄髷(こうがいまげ)」「勝山髷」の4種です。
細やかな形や結い方を分類していくと最終的には300種類以上になると言われています。
また、年齢や未婚か既婚か、住んでいる地域や身分による髪型の決まりやマナーもあり、髪型で大体の暮らしが分かるほどでした。
しかし、どの種類の日本髪も基本的な形は同じです。
おでこ上の大きな髪の膨らみを「前髪」、頭の両横の膨らみを「鬢(びん)」といいます。
頭頂から後頭部にかけての膨らみを「髷(まげ)」、襟足上の膨らみを「たぼ」、または「つと」と呼びます。
日本人女性特有の、広めのおでこや富士額、艶があり豊かな黒髪が引き立つ髪型です。
次より、七五三でおすすめの日本髪をご紹介します。
七五三の髪型でおすすめは?現代の日本髪をご紹介
厳密にいうと、昔からの日本髪と、現代の七五三や成人式などで作る日本髪は違います。
現代の工程で作られる日本髪は「新日本髪」と呼ばれます。
日本髪と新日本髪の違いは、使う道具と髪型が保たれる期間にあります。
日本髪は日本髪を結うために作られた専門の道具を使います。
髪を固める鬢付け油や、元結(もっとい)などの髪を縛る紐、鬢上げという鬢に張りを出す道具や、かもじと呼ばれる髪の量を補うつけ毛などです。
そして数週間は日本髪が保たれるように髪型を作ります。
今でも舞妓や芸妓などはこのスタイルで日本髪を作っています。
髪型が数週間崩れないように、寝る際は「箱枕」と呼ばれる、首のみを支える高めの木製の枕を使用します。
一方、新日本髪は、ワックスやスプレー、ヘアピンなど洋風の髪型を作る際の道具を用い、日本髪の形が持つ期間は当日のみです。
現代、一般的に行事において結われるのは新日本髪が主なので、以下は新日本髪を「日本髪」と表記します。
現代、日本髪においては、年齢や立場などで結い方の決まりやマナーはありません。
作りたい日本髪の種類でよいですが、七五三でよく結われるのは「桃割れ」という形です。
頭頂部から後頭部にかけての髷を丸く左右二つに分け輪を作り、鬢は膨らませます。
その形が桃の花が開く様に見えるため、桃割れと呼ばれていました。
昔は6~7歳の少女が結う髪型の定番だったため、七五三をする年齢の子供に似合うという理由から広く結われています。
七五三で結う日本髪で使う髪飾りの種類をご紹介
七五三の際、日本髪で使う髪飾りについてご紹介します。
前髪の上に指すのが「前櫛(まえぐし)」です。
髪型を抑える役目とともに、櫛には絵が描かれるなど、装飾が施されており華やかさも加えてくれます。
前髪の根元に結ぶのが「ちんころ」と呼ばれる紐状の髪飾りです。
色や素材も様々にあり、着物の色と合わせて選びましょう。
左側の鬢を飾るのは「ビラかんざし」です。
江戸時代に未婚の女性に流行した飾りで、かんざしには細工をした垂れ下がりの金具がついています。
動くたびにキラキラと輝き、綺麗です。
右側の鬢を飾るのが「ぶら下がりかんざし」です。
垂れ下がった花の飾りが特徴のかんざしで、藤や梅、菊など様々なモチーフがあります。
髷に被せるのが「かのこ」という布です。
髷の結び目を隠しつつ、色鮮やかな鹿の子染めの布で後ろ姿を華やかに見せてくれます。
着物の帯の結び方や柄の発展には「周りの人に後ろ姿も楽しんでもらう」という、日本特有のおもてなしの心が関係したと言われていますが、この「かのこ」も同じ意味を持っています。
七五三の日本髪を結う際に気を付けること
七五三で日本髪を地毛で結う場合、髪の長さが必要です。
基準は後ろ髪が肩甲骨の下以上、前髪は鼻が隠れるくらいの長さです。
しかしセミロングくらいの長さであれば、髪型にアレンジを加えたり、つけ毛や毛タボ(髷の膨らみににボリュームを出す綿)を多めに使用したりといった方法で日本髪を結えます。
ただ、毛量も必要なため、3歳の女の子には出来ないこともあります。
3歳はまだ髪の毛の成長がこれからという年齢で、生えそろっていない子供も多いためです。
個人差があるので七五三が近づいてきたら簡単なアップスタイルにしてみて可能か確認をすると良いでしょう。
伝統的な日本髪に近づけたいのであれば、前髪は伸ばしておくことがベストですが、日常生活で前髪が目にかかることを嫌がる子供もいるでしょう。
最近では前髪を切りそろえて下した状態で日本髪を作るのも、子供らしく可愛いといわれ、人気です。
日本髪を結う前日は、シャンプーやリンスは控えるのがベストです。
髪の毛がサラサラになると日本髪が結いにくく崩れやすいので、適度な油分を残すためです。
しかし、頭皮が痒くなり嫌がる子供もいるので無理はしないでください。
いざ当日、日本髪を結う前は、前開きの服を着ておきましょう。
髪を結ってから着付けに入るので、作った日本髪が崩れないように着脱のしやすいボタンタイプの服がおすすめです。
家でも髪型が作れる!日本髪の結い方
「日本髪を結うのは美容師しか出来ない」そう思われる方も多いでしょう。
しかし、日本髪は家でも結えます。
慣れると20分あれば出来る髪型です。
それでは、日本髪の結い方をご説明します。
事前準備に、あらかじめカーラーで髪を巻き、ワックスをなじませておきましょう。
子供の髪はまっすぐで細いので、準備をしておくと髪型が作りやすいです。
【手順】
① 両耳後ろ~頭頂部のラインで髪を分け、クリップでブロッキングします。
②前頭部はさらに両サイドと前髪部分の3つに分けます。
この時、左右の分け方が均等になっているか確認してください。
③ 髷のもとを作ります。
後頭部の髪の頭頂部分をとりわけ結びます。
結ぶ位置はあご~耳のラインの延長線上(つむじ近く)です。
髷のもとは「根」と呼ばれ、全体のバランスを取る重要な部分なので、たるまないように結んでください。
④ 襟足のたぼを作ります。
襟足の髪で毛タボや盛髪ベースを包み、根の髪とまとめて根のあたりで結びます。
⑤ 鬢を作ります。
前頭部の左の髪に櫛をしっかり通し、面をつくります。
たるませて根の髪と一緒に結びます。
右も同じように作ります。
⑥ 鬢のたるみから毛タボを入れ、膨らみを大きくします。
膨らみが左右対称になるよう、浮いているところはUピンで固定して調節します。
⑦ 前髪を作ります。
しっかり櫛を通し面を作り、膨らみを持たせて根のあたりで結びます。
前髪のゴムは見えやすいので、飾りに合ったカラーゴムを使用すると良いです。
⑧ 髷を作ります。
根でまとまっている髪を毛タボや盛髪ベースに巻きつけながら、前方に倒していきます。
根元をピンで固定し、毛タボを隠すように扇型に広げていきます。
⑨ 髪飾りを付けて、完成です。
挑戦してみたいけど自信のない方は、七五三の前から子供と練習してみると良いでしょう。
親子のスキンシップにもなり、一石二鳥です。
女の子の七五三にはぜひ日本髪を結ってみよう!
今回は「日本髪のマナーや結い方」についてご紹介しました。
本来は決まりやマナーの多かった日本髪ですが、現在は種類やアレンジ、飾りなども自由になりました。
髪の長さや量を補う道具をうまく使いながら、七五三の時期ならではの可愛い日本髪の姿にしてあげたいですね。
日本髪は家でも結えるので、ぜひ挑戦してみてください。