七五三の着付けにも時代の変化が!男児の袴に慣わしを入れて
2019年11月15日七五三の中で、男児がお祝いをするのは三歳と五歳の二回です。
しかし、近年では男児の三歳のお祝いをする家庭はほとんど見られなくなりました。
そのため、男児のお祝いは、五歳児の一回になっています。
せっかく一生に一回の七五三のお祝いになりますので、袴姿を見たいという家族も多いのではないでしょうか。
そこで、七五三の男児の着付けについてご紹介をしましょう。
目次
五歳の七五三は着物?それとも洋服?
七五三は、一生に一度の行事です。
特に、三歳児のお祝いの習慣がなくなっている男児にとって、和服の晴れ着姿は、一生のうちでたった一回になるかもしれません。
しかし、たった一回のために購入するのはもったいないですね。
家族の中には、男の子なら洋服でいいのでは、と考えている人もいるのではないでしょうか。
たしかに、たとえ七五三用の五歳児用でも、絹の七五三セットになると5万円以上するものばかりです。
特に、やんちゃで暴れん坊の五歳の男児に、高価な着物を着せても仕方がないと思ってしまうかもしれません。
しかし、それでもたった一回のお祝いですから、晴れ姿を残しておきたいですね。
そこで、最近増えているのがレンタルの着物を利用した七五三です。
最近は、呉服店はもちろん、写真館や美容院でも七五三の着物のレンタルと着付け、写真などをセットにして提供しているお店があります。
もちろん、着物のレンタルを専門にしているお店もあります。
たった一回のために、高いお金を払うのはもったいない、家にあっても何度も使えるものではない、という家族にとって、レンタルはとても便利なものです。
しかし、レンタルがない時代は、絹の着物やウールの袴を購入していました。
絹の着物は、いずれも高価なものです。
そのため、男の子の多くはブレザースーツなどの洋服で七五三を迎えていました。
五歳のお祝いの時に、ブレザースーツを購入して、そのまま小学校の入学式に利用するという家庭も多くありました。
しかし、五歳と七歳では身体の違いもあります。
近年では七五三の着物でも、入学式のスーツでも手軽に利用できるレンタルがあります。
レンタルを利用して、七五三の着物を用意することもできます。
上手にレンタルサービスを利用して、かっこいい着物を用意してはいかがでしょうか。
七五三の着物!女児と男児の着付けや柄の違い
七五三の着付けは、男児と女児では少し違いがあります。
女児の七歳のお祝いは、帯解きのお祝いになるため、丸帯を締めて背中で華やかな帯結びをします。
男児は、袴儀または「袴着(はかまぎ)の祝い」になります。
華やかな帯をすることはありませんが、袴をはいて凛々しい姿を披露します。
女児の場合は、着物の他に帯にも上等なものが必要となります。
帯の結び方一つでも、個性を表したり品格を表したりできます。
七五三の場合は、まだ子供の和装になりますので、大人と違い可愛らしい帯結びをします。
しかし、男性は大人も子供も、袴の中に帯を締めます。
そのため、結び方はほぼ同じ方法で、帯の結び方で個性を出すことはありません。
男児が締める帯は、袴下に締めて着物を崩れないようにし、袴が形良く帯の上に乗るようにするためのものです。
女児は、着物の上に帯を結び終えたら、着付けは終わりになります。
男児の場合、袴を履いた後に羽織りを着ることになります。
そして、着物は黒無地紋付で袴を履き、男の子らしさを強調した羽織りを着ます。
女児の着物は、花やおしどりや鶴といった鳥、手毬、扇子など可愛らしい柄になっています。
それに対して、男児の羽織は同じ鳥でも鷹や龍・大海原・宝・寅といった雄大さを感じるものになります。
ここに、おめでたい松竹梅を合わせた柄が多くあります。
中には、成人のように羽織りも黒紋付を羽織る子供もいますが、近年は華やかな柄や色が増えています。
その中で水色や白、紫といった、黒以外の着物を着る子供も増えています。
時代によって違う男児の七五三の着物
七五三の男児の着物と言えば、黒無地紋付の着物に、白と黒・銀の縦じまの袴、黒地に雄大な柄の羽織というのが一般的でした。
しかし、近年男児の着物も、華やかな柄や色が増えています。
中に着る着物と羽織の色は対になっていますが、黒だけでなく青や水色・白・金・銀といったものも増えています。
中には、赤や緑といったものもあり、すでに「男の子はこうあるもの」と決められていた時代ではないということでしょうか。
袴も黒と白の縦じまといったものは少なくなっています。
特にレンタルは華やかで、金地に様々な模様が刺繍されたものが多く見られます。
中には、幾何学模様のようなものもあり、昔ながらの縦じま模様はほとんどありません。
羽織りの柄にも幾何学模様を取り入れているものがあります。
他には、梅や松・桜・藤といっためでたい植物の柄を描いたものもあります。
その中でも時代を感じるのが、ピンクやオレンジの地の羽織や、左右色違いの羽織があることです。
レンタルの着物は、購入した着物と違い、長い年月色々な子供に受け継がれるためのものではありません。
七五三の一日だけのためのものです。
着付けてもらう子供自身の好みや家族のセンスに合わせて、レンタルのお店が用意するものです。
飽きがこないデザインよりも、より子供の個性を尊重して選ぶものになっています。
そのため、多種多様な柄や色のものが増えているのかもしれません。
着付けがしやすい七五三の男児の着物
男児の七五三では、絹の着物と絹の羽織り、そして毛の袴を履きます。
しかし、絹の着物や羽織り、毛の袴はそろえるといずれも高額になり、手入れも大変です。
男児ばかり三兄弟や、親族の男児で同じ七五三の着物を利用する、という家庭では祖父母がこういった、良い着物を用意することもあります。
大勢が着ることで、10万円近くした七五三のセットもレンタルと同じくらいになります。
しかし、それ以上に大変なことが、利用した後の手入れです。
七五三の後、きちんとクリーニングに出しておかないと、虫に食われてしまいます。
虫食いの穴があいてしまったら、せっかくの良い着物も台無しです。
借りた相手がいくら親族とはいえ、きちんと着物専門のクリーニングに出してきれいな状態で保管しましょう。
しかし、最近は着物専門のクリーニングの心配もいらない、ポリエステル素材のものが増えています。
ポリエステル素材といっても、繊維の質も良くなっていますので、ほとんど見た目は変わりません。
ポリエステル素材なら、購入しても数万円で一式揃うものもあるということです。
しかし、ポリエステル素材は絹と違い生地のコシが弱いため、着付けをするためのコツが必要になります。
滑りやすいため、着崩れの心配もあります。
家族が着付けるなら、しっかりとした絹の着物と毛の袴の方がきれいに着せることができます。
そこで、複数の子供が着る機会のある着物なら、絹の着物をお勧めします。
男児の七五三の着付けに必要な小物と下着
七五三の着付けに必要なものは、色々あります。
女児は、着物の他にヘアメイクのための髪飾りやバッグも必要になります。
しかし、男児は髪型はきちんと整えるだけで十分です。
バッグも必要ないので、男児は着物の着付けのための準備だけになります。
しかし、着物は下着から用意しなければなりません。
普通の下着は、とうぜん身につけますが、その上に肌襦袢や長襦袢といった着物用の下着が必要です。
男児の場合は、足元が袴になるので長襦袢はなくても大丈夫です。
あれば、半襦袢に衿を縫い付けて着せますが、半襦袢なしで肌襦袢の上に衿だけを付ける着付け方もあります。
他にも、着物の場合は足袋が必要になります。
小物では、着付けに必要な小物と、子供に持たせる小物があります。
着付けに必要な小物には、着物ベルトや着物用クリップなどがあります。
子供に持たせたり、着物を飾ったりするために必要な小物には、羽織紐や白扇などがあります。
それでは、実際に必要なものを並べてみましょう。
【必要な小物】
・肌襦袢
・半襦袢
・裾除け
・衿
・伊達締め
・着物ベルト
・足袋
・懐剣
・草履
・羽織紐
・守袋
・白扇
・着物用クリップ
必要な小物のほとんどは、着物を購入する時にも、レンタルで借りる時にもセットになっています。
しかし、足袋はレンタルでもレンタル料に含まれる形でお買い上げになります。
また、着物ベルトや着物用クリップは、美容院が貸してくれることもありますが、自宅で着付ける時は、あらかじめ購入することになります。
セットに入っていないものもあるので確認してみましょう。
慣わしに準じた男児の七五三の着付け
小物が用意できたら、いよいよ着付けです。
ヘアメイクがない、帯結びの技術がいらない男の子だからこそ、家で着付けをしてあげることができます。
昔は、着付けの時に着物用の紐を何本も用意しました。
最近は着物ベルトやワンタッチの伊達締め、着物用クリップと便利なグッズがあります。
靴下のように履くことができる足袋もあります。
昔より、着物の着付けが少し簡単になってきました。
そこで、家族の人が着付けの勉強をして、七五三の子供の着付けをしてあげてみてはいかがでしょうか。
七五三は成長した子供のお祝いといっても、まだ五歳です。
美容院など、慣れない環境で長時間待たされるのは疲れてしまうかもしれません。
自宅で家族に囲まれて着付をしてもらえるなら、子供自身も安心ですね。
それでは、子供に男児の七五三の着物を着せてあげましょう。
【着付け方】
①まずは、肌襦袢と半襦袢を着せます。
この時、半襦袢に付けた衿合わせは深めにして、衣紋は抜きません。
伊達締めで整えます。
②着物の背縫いを背中央に合わせて着せます。
半衿(半襦袢の衿)を1cm出して、着物ベルトで留めます。
③角帯を締めます。
角帯は背中でしっかりと小さな文庫を作ります。
袴の腰板がこの上に乗るようになります。
最近は、簡単にマジックテープで留められる簡単な帯もあります。
④袴を着付けます。
袴を付ける時は、囲碁に使われる碁盤の上で吉方を向きながら初めて袴を着けるのが正式な付け方です。
しかし、現代では碁盤がない家庭も多く、あってもその上に子供を乗せるのは危険と考える人もいます。
そこで、普通の熨斗紙の上で、吉方を向かせてあげましょう。
袴には、左足から入れて着付けをするのが慣わしです。
マナーやルールを昔ながらの方法にするのは難しいです。
しかし、せめて袴を付けるときだけでも、慣わし通りにできるといいですね。
便利なものを利用して男児の七五三も着物でお祝いを
七五三の男児の着付けについてご紹介しました。
最近はレンタルの着物がとても充実していますし、便利なグッズも増えています。
着物の素材や柄も昔ながらのものから、新しいものまで選ぶことができます。
着付けの方法も変わり、以前よりも簡単に着付けができるようになりました。
新しいものを上手に利用しながらも、その中に昔からの慣わしを取り入れ、家族で七五三のお祝いをしてあげましょう。