和食のマナーを身につける!配膳のきまりをマスターしよう!
2019年08月19日和食のマナーと言うと、箸の使い方などの堅苦しいものと思われがちです。
しかし、配膳のきまりを身につけるだけで、和食のマナーはもちろん、献立も簡単に考えられるようになります。
今回は、和食の配膳を通して、食事のマナーを簡単にマスターできる方法を料理の形式からお伝えします。
毎日の食卓が少しの工夫で、洗練されたものにかわります。
ぜひ、このチャンスに和食の配膳についてやマナーを身につけましょう。
目次
全部わかるかな?和食の基本的な配膳の形式は4+1種類!
和食は配膳の形式によって、4種類に分けられます。
伝統的な「本膳料理」、お茶席で供される「懐石料理」、宴席で用いられる「会席料理」、一般家庭や定食屋で提供される「一汁三菜(定食スタイル)」に分けられます。
そして、お店で新しい形としてできた「コース料理」の1種類をくわえた5種類が基本的な配膳の形式になっています。
和食の配膳の基本は、席が整った状態で提供されることです。
お膳の上にすべての料理が並んだ状態の部屋に入室する、又はお膳ごと運んでくるかのどちらかです。
各自の料理がそれぞれに盛り付けてあり、大皿から取り分けることはありません。
ただし、お茶席の懐石料理だけは、順番に後から料理が出てきて、取り分けて食べます。
また、新しい形の「コース料理」は和食でありながら、フランス料理のように順番に料理が提供されます。
例外的に麺類や丼物など器の数が少ないものもありますが、同じ和食ですので基本は変わりません。
この配膳を覚えておくと提供する側としてだけでなく、食べる時のマナーも身につきますので、少しずつ覚えましょう。
家庭料理や定食屋の「一汁三菜」は最も簡素化された配膳
家庭料理や定食屋で配膳される「一汁三菜」は、和食の最も簡素化された配膳スタイルです。
この一汁三菜の配膳は献立と密接な関係があります。
言い換えると、一汁三菜が整うと献立としてある程度完成された形になります。
それでは、一汁三菜の配膳と献立をご紹介します。
【一汁三菜の配膳】
・主食は白飯などのご飯を指し、左手前に置きます。
・汁物は吸い物やみそ汁を指し、右手前に置きます。
・主菜は魚や肉料理などメインディッシュを指し、右奥(汁物の奥)に置きます。
・副菜は野菜を主とした煮物などのおかずで、左奥(主食の奥)に置きます。
・副々菜は和え物やサラダなどのおかずで、奥の中央(主菜と副菜の間)に置き、地域によっては、料理全体の中央に置くこともあります。
この料理に漬物又は果物(デザート)を添える時には、主食と汁物の中央少し奥に置きます。
ご飯と漬物は料理として数えませんので、覚えておきましょう。
そして、家庭料理ですので、主菜の皿に副菜も盛り付けることもあります。
そのような場合は、主食と汁物の配膳を変えることなく、主菜を真ん中奥において、三角形になるように配膳します。
そして、箸は手前に置きますが、家庭でもできるだけ箸置きを使って和食のマナーを意識しましょう。
左利きの方には、箸の置き方だけ左右を変えますが、器の位置はそのままで配膳します。
和食の正統派本膳料理!和食のマナーと配膳の形式のはじまり
家庭料理の一汁三菜のもとになっているのは、「本膳料理」です。
本膳料理は、室町時代に形式として整い、現在では冠婚葬祭の宴席の料理として提供されています。
和食のもてなし料理の原点ともいえる本膳は、「一汁三菜」を基本として、豪華になるにつれて「二の膳」、「三の膳」とお膳の数も増えていきます。
また、料理の数は一汁三菜に始まり、一汁五菜、二汁五菜、三汁七菜と増えていき、最も多い場合は三汁十五菜まであります。
そして、本膳の配膳は独特のきまりがあり、このような配膳と献立のきまりを「膳組」と言います。
それでは本膳の一汁三菜を献立と共にご紹介します。
【本膳の一汁三菜の配膳】
・主食はご飯で左手前、汁物はみそ汁で、右手前に置きます。
・焼物は「焼物膳」にのせ、本膳の右隣に置きます。
・主菜にあたる「平(ひら)」は煮物です。
海の物、山の物、里の物を合計5種類程度盛り合わせ、平たい蓋付きの煮物椀に盛り付け、お膳の左奥に置きます。
・副菜にあたる「なます」は野菜の和え物、又は酢の物を小鉢に盛って、右奥に置きます。
・本膳中央に香の物を配膳します。
この後、お酒が提供され、お菓子と濃茶または薄茶が出されました。
また、器にもきまりがあり、箸置きは使いません。
そして、本膳は配膳と同様食べる順序にもきまりがあり、箸の使い方のマナーは本膳が基本になっています。
会席料理は和食の華!配膳のマナーはお酒と関係あり!?
本膳料理を料亭や宴席などでお酒を楽しむための形式に完成した和食が、会席料理です。
会席料理は、本膳のように全部を配膳してある状態で食事が始まり、お酒の後にご飯と汁が提供されます。
特徴は、最初にお箸と一緒に猪口やグラスが箸の左側に配膳され、箸置きを使用することです。
それでは一般的な会席料理の配膳を献立と共に簡単にご紹介します。
【会席料理の配膳】
・先付は別名「お通し」ともいわれ、お膳の中央に配置します。
・前菜は口取りを3種類程度横長の器に盛り合わせ、左手前に置きます。
・向付(むこうづけ)はお刺身を指し、左奥に置き醤油皿はその左手前、先付との間に置きます。
・吸い物は右手前に置き、本膳のきまりとして吸い物は盃事の始まる合図です。
・焚合(たきあわせ)は煮物を指し、奥の真ん中に置きます。
・焼物は、左奥に置きます。
・箸休めや小鍋料理が提供されることが多く、配膳の場所は食事の邪魔にならない場所に置かれます。
・油物として揚げ物が出される場合と、焼き物に対して肉と魚でセットになるように料理の形式にこだわらないで提供されることもあります。
・酢物はお通しの左隣、前菜と焼物の間に配膳します。
・ご飯、止椀(とめわん)のみそ汁はお酒の後に提供され、それぞれ左手前、右手前に配膳します。
・最後に水菓子として果物を酢物の左横に置きます。
会席料理は本膳の膳組を基本にしていますが、料理の数が多くなってもお膳の数を増やさないので、大きめのお膳を使用し、手前から奥まで横3列に並べます。
食べ方に本膳のようなマナーはありませんが、料理の順番を覚えると全部が配膳されていても食べる順序を理解できます。
洗練された配膳とマナー!茶懐石料理は究極のおもてなし
本膳を基本とする懐石料理の中でも「茶懐石料理」は、会席料理に比べて本膳のマナーを色濃く残しています。
茶道の流派によって違いはありますが、大まかな流れに違いはありません。
会席料理がお酒を楽しむための料理なら、茶懐石料理は料理の後のお茶を楽しむための料理です。
それでは、茶懐石の料理の配膳と献立を簡単にご説明します。
【茶懐石料理の配膳】
・折敷(お膳)の左手前に主食のご飯、右手前に汁物のみそ汁、奥中央の向付に刺身、手前に箸をのせて客の前に配膳します。
・ご飯と汁だけを食べ盃事を行い、その後向付に箸をつけます。
・ご飯を飯器に入れて配膳し、客は自分でよそってご飯を食べ、汁椀は亭主が受け取っておかわりを給仕します。
・主菜の椀盛をお客の折敷向こう正面に配膳し、お客は自分で折敷右横に移動します。
・副菜の焼物と副々菜の強肴(しいざかな)2、3種類をそれぞれ鉢や大皿に盛り付けて配膳し、お客は手渡しで、各自添えてある箸で向付の器にとります。
・箸洗(はしあらい)の小吸物の後、「八寸」の山と海の肴を亭主が給仕しながら、盃を交わします。
・香の物、湯桶が配膳され、お客は手渡しで受け取り各自お茶漬けのようにしていただきます。
この後お菓子が出され食べた後一旦茶室を退出し、席が清められ濃茶、続いて薄茶を飲みます。
茶懐石の特徴は、食べる順番は本膳のしきたりを守りつつ、器の数を最小限にしていることです。
本膳で「平」と呼ばれた椀盛が主菜、それ以外の副菜は鉢盛で配膳され各自がとります。
とり箸のマナーやふた付きの器の扱いなど和食のマナーのすべてが凝縮されています。
料理屋の「コース料理」は和食の新しい配膳スタイル
和食の料理屋では、新しい配膳スタイルが定着しています。
料理の品数や配膳の順序は会席料理と変わりませんが、フランス料理のように一品ずつ配膳されます。
温かい料理、冷たい料理、それぞれが最も美味しい出来立てで提供できる利点があります。
それでは和食のコース料理形式の配膳をご紹介します。
【和食のコース料理の配膳】
・各自にお膳(半月盆が多い)が配膳され、箸置きを使って置かれた箸と左手前に猪口またはグラス、奥中央に先付がのせてあります。
・会席料理と同じ流れで料理が給仕され、先付を頂点とした三角形に順序だてて配膳されます。
・お膳に乗り切らなくなった料理は、最初に配膳された料理を右に置いて、お膳の上には常に新しい料理を配膳します。
・最後のご飯と汁物はそれぞれ、左手前、右手前に配膳します。
器を下げるタイミングは食べるほうが声をかけることが和食のマナーですので、コース料理で皿数が増えた時はこのマナーを覚えておくと便利です。
また配膳はお客の正面から行い、できない場合の配膳はお客の左側から、下膳は右側から行います。
本膳、会席、茶懐石、コース料理とも、席についた時が食事の始まりの合図で、お客が箸をおいた時が、食事の終了の合図になります。
和食の配膳を覚えることは食事のマナーを理解すること
今回は、和食の形式ごとの配膳を通して、献立と食事のマナーをご説明しました。
会席料理は、和食のおもてなし料理の代表的なものですが、配膳のマナーは家庭料理も基本は同じです。
普段の食事も配膳を意識して、箸置きを使うなどちょっとした工夫をすることで和食のマナーが身につき、献立も考えやすくなります。
和食のマナーを身につけて、外食でも緊張せずに美味しく楽しめるようになりましょう。