御仏前のお札の入れ方はどうする?香典のお金に関するマナー

2019年10月12日

冠婚葬祭では、服装やお金の渡し方やタイミングなど一つ一つに細かい決まりやマナーがあるものです。

御仏前のお金にも細かい決まりやマナーがあります。

御仏前の「お札の入れ方に困ってしまった」というご経験をされた方も多いのではないでしょうか。

今回は、いざというときに恥ずかしい思いをしないように、御仏前のお金の入れ方をはじめ、相場などもご紹介していきますので、参考にしていただけると幸いです。

お金の入れ方の前に知っておきたい御仏前の意味

御仏前のお金の入れ方のマナーを知る前に、まずは御仏前とはいったいなんなのか、その意味から見ていきましょう。

御仏前とは、香典袋の表書きに書かれるものです。

葬儀や法要など香典を持っていく機会はさまざまありますが、その中でも御仏前という言葉を書くことができる行事は決まっています。

百日忌法要や年忌法要など、四十九日のあとにお供えする香典のみ、この表書きを書くことができるのです。

これには、きちんとした理由があります。

基本的な仏教の考え方として、四十九日を迎えるまでは亡くなった人々は霊として存在し、四十九日を迎えると仏様となってあの世へ行くというものがあります。

ですので、御霊にお供えするのか、それとも御仏にお供えするのか、その対象によってそれぞれ異なる表書きが存在するのです。

したがって、四十九日の前の香典袋には、御霊前と表書きを書くのがしきたりです。

また、仏という文字が入っていることを見ても分かるように、この表書きを書いてよいのは仏教の法要のときのみです。

しかし、数ある仏教の宗派の中でも、浄土真宗の葬儀の際には御仏前と書かれた香典袋を持参しても問題はありません。

これは、浄土真宗では人は亡くなるとすぐに仏様になると考えられていることに基づいています。

御仏前のお金の相場はいくら?

御仏前のお金の入れ方を知る上で、その金額の相場を知っておきたい事柄です。

この金額は、故人との関係とご自身の年齢により変わります。

まず、故人があなたの祖父母にあたる場合、20代の方が包む金額は10,000円、30代の方が包む金額は10,000円から30,000円、そしてそれ以降の年代の方は30,000円から50,000円となります。

故人が両親や義両親にあたる場合、20代の方が包む金額は30,000円から100,000円、30代の方が包む金額は50,000円から100,000円、そしてそれ以降の年代の方は100,000円以上となります。

また、兄弟姉妹や義理の兄弟姉妹の場合、20代の方は30,000円から50,000円、30代の方は50,000円、そしてそれ以降の年代の方は50,000円となります。

それ以外の親戚の場合、20代の方は3,000円から10,000円、30代の方は3,000円から20,000円、そしてそれ以降の年代の方は3,000円から30,000円となります。

それでは、自分の親戚以外の関係の場合はどうなるのでしょうか?

故人が友人である場合、20代の方は5,000円、30代以降の方は5,000円から10,000円となります。

近隣の方の場合、20代の方は3,000円から5,000円、30代以降の方は3,000円から10,000円となります。

仕事先の関係者の場合、20代の方は5,000円、30代の方は5,000円から10,000円、そしてそれ以降の年代の方は10,000円以上となります。

ただしこれはおおよその目安で、いくら包むのかはご自身と故人の関係の深さによっても変わってきます。

御仏前のお金の入れ方

おおよその御仏前のお金の相場が分かったところで、今度はお金の入れ方を見ていきましょう。

お金は中袋に入れ、その裏面に金額や住所氏名を墨で記入します。

この際の金額は、一、二、三などの通常の漢数字で書く方が多いですが、本来は壱、弐、参という旧字体の漢数字で書くものです。

もしも中袋がない香典袋を使用するときには、表袋の裏側の左下側に住所と金額を記入しましょう。

また、御仏前に入れるお金は新札ではいけないというマナーがあります。

これは、きれいなお札は「香典のためにお札をあらかじめ用意しておいた」という連想につながるからです。

もしも手元に新札しかない場合、軽く折り目を付けておくようにしてください。

ただし、いくら新札はいけないからといって、ぼろぼろのお札を入れるのもマナー違反です。

また、御仏前のお金は、四や九がつく金額にならないようにしましょう。

これらは、死や苦を連想させる縁起の悪い数字です。

お金を中包みに入れるときにも、入れ方の注意点があります。

まず、お札の向きはすべて統一しましょう。

お札には、裏面と表面があります。

肖像画が描かれている方が表面となりますので、中袋の裏側にこの面がくるようにお金は入れましょう。

これは御仏前を表面が見えるように置いたとき、肖像画が裏にふせって、まるで悲しみで頭を下げているように見えることに由来するといわれています。

御仏前の表書きの書き方

仏様にお供えする香典には、表書きを書くという決まりがあります。

お金の入れ方も大事ですが、この表書きは一番最初に目に入るものなので、間違いのないようにしっかりと書きましょう。

四十九日前の御霊前の表書きには薄墨を使いますが、御仏前の場合は通常の濃い墨を使用しましょう。

水引の上の部分に御仏前と、墨や筆ペンで書きます。

水引の下の部分には名前を書きます。

個人で渡す場合は中心部分にフルネームを書き、家族の連名の場合は世帯主のフルネームのみを書きましょう。

夫婦で渡す場合は、中心部分に夫のフルネームを書き、その横に妻の下の名前を記します。

また、水引の種類も決まりがありますので、注意しましょう。

葬儀や法事、法要では結びきりの水引を使うのが一般的で、色は黒白、黄白、双銀などを用います。

一般的なのは黒白や双銀で、黄白は関西で使われることが多い水引です。

仏教の主な法要について

参考までに、仏教の主な法要についてご紹介しましょう。

まず、故人がなくなって7日後には初七日を迎えます。

この日は親族で集まり、僧侶に読経してもらいます。

その後7日ごとに二七日、三七日、四七日、五七日、六七日と続き、七七日(四十九日)に故人は仏様になります。

死後100日目には百箇日の法要がごく身内だけで行われます。

その後は身内だけでなく故人の知人も交えて一周忌と三回忌が行われ、それ以降は身内のみで行う七回忌、十三回忌、十七回忌と続きます。

どの法要でもお金の入れ方は同じですが、上記でも見たように四十九日以降の法要の香典は御仏前にお供えします。

仏教以外の法要と香典のお金の入れ方について

上記でみたとおり、御仏前とは四十九日以降の法要に仏様にお供えする香典です。

それでは、仏教以外の法要や香典にはどんなものがあるのでしょうか?

まず、神道には十日祭、三十日祭、五十日祭、百日祭や一年祭があり、これらの香典は表書きには御神前や御玉串料と書きます。

水引は双白、双銀、黄白を使います。

キリスト教は、カトリックとプロテスタントで法要を行う日程が少し異なります。

カトリックの場合、死後3日後、7日後、30日後に追悼のミサを行います。

そしてプロテスタントの場合、死後7日か10日後、1か月後に昇天記念式を行います。

香典は水引を用いらず、表書きは御花料、御ミサ料と書きます。

お金の入れ方はどの宗教も同じです。

ほんの少しのことにも気を配りましょう

御仏前をはじめとする香典のお金の入れ方にも、細かいルールがあります。

新札は避け、お札の表面を裏向きにしてお金は包みましょう。

また、御仏前は四十九日後の仏教の法要のみで使える表書きです。

そのほかの法要や宗教の時には使用しないように気を付けましょう。