通夜振る舞いの食事で知っておきたいマナー!参列者の心得

2020年01月10日

通夜が終わった後、故人を偲ぶ場として参列者に「通夜振る舞い」が行われます。

料理や飲み物が提供される通夜振る舞いでは、特別な食事マナーがあるわけではないですが、出席する際の最低限のマナーを心得ておく必要があります。

この記事で、通夜振る舞いの意味合いやマナーについてよく知り、故人を偲ぶ場として相応しい心がけをしていきましょう。

食事が出される通夜振る舞いとは?

葬儀に出席する機会がなかった方にとって、通夜などに臨む際のマナーはあらかじめしっかり押さえておきたいところです。

挨拶や身だしなみ、香典マナーなど押さえておくべきことは多い分、通夜の後に提供される「通夜振る舞い」についてすっかり失念していたという方もいることでしょう。

そもそも通夜振る舞いとはどんなものなのか、知らない方もいるのではないでしょうか。

通夜振る舞いとは、お通夜の後に参列者に対して振る舞われる食事会のことで、一般的にオードブルなどの軽い食事やお酒が提供されます。

地域によって内容は異なり、参列者にお菓子折りを持ち帰ってもらったり、お菓子やお茶だけを振る舞ったりする場合もあります。

もちろん、この通夜振る舞いはただ食事をするためのものではなく、遺族から参列者に対するお礼、そして冒頭で述べたように故人を偲び供養する目的があります。

したがって、通夜振る舞いに出席する場合、悲しみの場に失礼がないように、目的をきちんと理解したマナーを心がける必要があります。

通夜振る舞いの参加範囲は?案内があったら出席しなければならない?

通夜振る舞いの目的や意味について分かりましたが、通夜振る舞いの食事会にはどのような方が参加するのか、参加範囲が気になる方もいるでしょう。

結論から言うと、地域によって範囲はそれぞれで、一般的には会社関係者や近所の方など、一般の弔問客も含めて通夜振る舞いをする場合が多いですが、遺族や親族のみで行う場合もあります。

通夜振る舞いがある場合、通夜が終わった後に喪主の挨拶と共に案内があるため、自身が参加する範囲であればなるべく参加するのが望ましいです。

また、参加の範囲外であっても、遺族から通夜振る舞いへのお誘いがあった場合は、急ぎの用がない限りはできるだけ参加するようにしましょう。

とは言え、やむを得ない事情で参加できない場合は、遺族の方に事情を告げて退席してください。

なお、通夜振る舞いは1時間程度行われますが、本来の意味を考えて、いつまでも長居はせずに30分程度で退席するのが望ましいマナーと言えます。

お腹がいっぱいでも、食事に箸をつけることが故人の供養になるため、一口でもいただくようにしてください。

通夜振る舞いの食事会に際するマナーと注意点

通夜振る舞いに参加するにあたり、食事をする際には心得ておきたいマナーがあります。

まず、前述したように、通夜振る舞いはあくまでも故人を偲んで思いを馳せる場であり、箸をつけることで供養をします。

そのため、故人に全く関係ない話をするのは場違いであり、避けるのが弔辞に相応しいマナーでしょう。

また、特に気を付けたいのが、遺族と故人の話をする際のマナーです。

故人の最後の様子や死因など、故人の死に結び付くような詮索を自分からすることは失礼にあたります。

悲しみに暮れる遺族の気持ちを配慮し、心に寄り添うような言葉を手短にかけるのが望ましいマナーと言えます。

通夜振る舞いにはお酒が提供されるため、つい思い出話に声が大きくなりがちですが、お悔やみの場であることを忘れず、節度を持って故人を偲ぶようにしてください。

通夜振る舞いの食事会で気を付けたい言葉のマナー

通夜振る舞いで食事をする際は、第一に故人を偲び、遺族に対して労りを持って参加することが大切であることが分かりました。

それに加え、通夜振る舞いを含めた葬儀の席で、使用を控えたい「忌み(いみ)言葉」についても知っておくことが望ましいです。

忌み言葉とは、不幸が続くことを連想させる縁起が悪い言葉とされ、特別な慶弔の場で使うことは忌み嫌われてきました。

例えば、通夜振る舞いでも挨拶をしたり会話をしたりする場面がありますが、その際に忌み言葉を避けるのがマナーとされています。

これには、言葉そのものに霊的な力が宿っているという古来からの言霊信仰が関わっており、言葉が現実化することを恐れて忌み言葉が避けられてきました。

古臭い考えとも思えますが、「縁起でもないことを言うな」とあるように、現代の日本人にも無意識的に根付いている宗教観とも言えます。

遺族に対する配慮でもあるので、忌み言葉をしっかり押さえておきましょう。

葬儀で避けたい忌み言葉のチェック!遺族を気遣ったマナーを

では、通夜振る舞いでの食事会や挨拶で注意すべき忌み言葉には、どのような言葉があるのでしょうか。

まず一つ目は、不幸が続くことを連想させる、同じ言葉を繰り返す「重ね言葉」です。

・重ね重ね
・度々
・くれぐれも
・いろいろな
・たまたま
・次々に など

ちなみに、この「重なる」ことについては、葬儀の服装に関しても同様の考え方があり、女性が着用する真珠のネックレスも2連に重なったものは避けるマナーがあります。

そして、二つ目は、意味合いとして重ね言葉と似た性質を持つ言葉です。

・再び
・引き続き
・追って
・繰り返し など

以上のような重ね言葉は、挨拶や会話の中で意識して言い換えることが望ましいでしょう。

その他にも、数字の「四(し)」や「九(く)」も「死苦」を連想させるため、あえて「よん」「きゅう」と読むのが良いとされています。

通夜振る舞いと精進落としの違い

これまでに、通夜振る舞いでの食事会に際するマナーや使用を控えたい忌み言葉について詳しくお話ししてきました。

最後に、通夜振る舞いと同じ意味合いを持つ「精進落とし」について、その違いを確認しておきましょう。

精進落としとは、火葬が終わった葬儀後に振る舞われる会食で、地域によってはお斎(おとぎ)、精進明け、精進上げなどと呼ばれています。

かつては、四十九日目の忌明けまで肉・魚を食べず、精進料理を食べるという風習があり、その精進期間が終わって食べる料理のことを「精進落とし」と呼んでいました。

しかし、現代では通夜振る舞いと同様に、お世話になった僧侶や会葬者をもてなし労う会食として形を変えるようになりました。

立ち位置としては、感謝の気持ちとしての通夜振る舞いと同じですが、厳密に言えば、葬儀の締め、けじめとする意味合いが強いでしょう。

また、精進落としに出席するのは、基本的に親族だけであることが多いので、一般の弔問客に行う通夜振る舞いとはその点も異なります。

通夜振る舞いよりも華やかなメニューが一般的で、1~2時間ほど食事をしながら歓談します。

葬儀後の労いの席なので、通夜振る舞いと同様に、羽目を外したり、お酒を飲み過ぎたりしないよう、故人を偲ぶのがマナーと言えます。

お悔やみの席に相応しい心がけを

通夜振る舞いでは、参列者に対して感謝をし、故人を供養するための意味合いがあります。

お酒を飲むとつい会話も大きな声になってしまいますが、お悔やみの席であることを忘れずに、マナーを守ることが大切です。

また、故人を偲びつつ、遺族の悲しみの気持ちにも静かに寄り添うように心がけましょう。