春と秋のお彼岸にお供えする和菓子はどんなものがいい?

2020年03月01日

お彼岸は、一年のうち春と秋、2回訪れます。

お彼岸の間は、親戚宅を訪問したり、家族揃ってお墓参りに行くのが一般的ですよね。

その際、どのようなお供えを用意したらよいのか悩んでしまう人もいるのではないでしょうか。

お彼岸に供える和菓子で定番なのは、「おはぎ」と「ぼたもち」です。

なぜ、おはぎやぼたもちなのか、まずはその理由をお伝えしていきます。

また、おはぎやぼたもち以外におすすめのお菓子をいくつかご紹介すると共に、選び方のポイントもご紹介していきますので最後まで目を通してみてください。

春と秋の年2回のお彼岸はそもそも何をするためのもの?

3月の「春分の日」と9月の「秋分の日」の前後3日間を合わせた7日間を、お彼岸の期間とされています。

そして、春分の日と秋分の日を「中日(なかび・ちゅうにち)」といい、この中日の前後にお墓参りに行くのが一般的です。

お彼岸の7日間は、ご先祖様に感謝をする日を中日とし、その前後の6日間は普段の生活で正しい行いができるよう6つの行いを一日に1つずつ行う大切な期間になります。

そのため、お彼岸の期間には、仏壇やお墓を掃除して、家族皆でお墓参りに行き、お花や和菓子をお供えします。

お彼岸にお供えする和菓子というと、おはぎやぼたもちが定番です。

おはぎとぼたもちは一見同じようですが、おはぎは粒あんでもち米を包んだお菓子です。

一方、ぼたもちはこしあんでもち米を包んだお菓子になります。

材料は同じですが、実は春と秋でお供えするものが異なります。

その理由についてはのちに解説していきますが、続いてはお供えの基本「五供(ごく)」についてご紹介していきましょう。

お彼岸のお供え「五供(ごく)」について

お彼岸のお供えの基本「五供(ごく)」をご存じでしょうか。

宗派によって多少の差はありますが、五供は、「香・花・灯燭・浄水・飲食」の5つが基本のお供えものといわれています。

まず「香」は、お線香や抹香を指します。

お香の香りは、心身を清める意味を持ちます。

またろうそくの火は口で直接吹きかけて消すのではなく、手であおいで消すようにしましょう。

次に「花」ですが、仏前に供えるお花を「供花(くげ)」といいます。

生花を基本としており、トゲや毒、香りの強い花やつるに咲く花は不向きとされています。

続いて「灯燭(とうしょく)」です。

灯燭はろうそくに火を灯すことを意味しています。

こちらも線香と同様に、火を消す際は手であおいで消しましょう。

続きまして「浄水(じょうすい)」は、お墓や仏壇に供える水やお茶のことを指します。

清らかな水を供えることで心を浄化することを意味します。

最後に「飲食(おんじき)」です。

飲食は、仏前にお供えするご飯のことを指します。

お墓でお供えするものでは、フルーツや和菓子などのお菓子を供えることが多いですが、仏壇では家族が食べる主食を供えて、家族が食べる前に仏飯器に盛りつけて供えるのが一般的です。

また、お彼岸などの特別な日には故人の好きな料理を供えることもありますが、春のお彼岸にはぼたもち、秋のお彼岸にはにおはぎを供えることもあります。

なぜ春は「ぼたもち」で秋は「おはぎ」なの?

先ほど述べたように、お彼岸では、春にぼたもち、秋におはぎをお供えします。

なぜ、季節によってあんこの種類が変わるのでしょうか。

まずその理由に、あんこに使用される小豆の収穫時期が関係しているといわれています。

小豆の収穫時期は9~11月です。

秋に収穫したばかりの小豆の皮は柔らかく、粒あんとして使用しても美味しくいただくことができます。

しかし、春のお彼岸に使う小豆は、秋に収穫した小豆を長期に渡り保存したものです。

冬を超えて皮が硬くなった小豆は、粒あんにすると皮が口の中で残ってしまうため、粒あんには向かないとされています。

したがって、春のお彼岸は皮を取り除いたあんこ、こしあんにしてぼたもちとしてお供えするのです。

また、ぼたもちとおはぎの名前の由来に関しては、花の名前が関係しているともいわれています。

春の季節に咲く花では、桜の他に「牡丹(ぼたん)」がありますが、ぼたもちは牡丹の花を由来して「牡丹餅」と書きます。

一方、おはぎは秋の季節に咲く花「萩(はぎ)」に由来して「御萩」と書きます。

また、大きさにも一説あり、おはぎは萩の花のように少し小ぶりの俵型で作られ、ぼたもちは牡丹の花のように大きな丸形にして作られることもあります。

ただ、この話は諸説ありますので、すべてがこのような形になっているとは限らないようです。

また、粒あんでもこしあんでもどちらにも関わらず「おはぎ」として販売しているお店もあります。

ここまでお伝えしたように、秋はおはぎ、春にぼたもちをお供えするわけは、小豆の収穫時期や季節の花に関係しているようですね。

また、お彼岸のお供えでは、おはぎとぼたもちの他にも、よくお供えされる和菓子があります。

その和菓子については、次にご紹介していきます。

おはぎやぼたもちに並ぶ定番和菓子「落雁」とは?

先ほどお伝えしたように、お彼岸にお供えする和菓子では、春にぼたもち、秋におはぎが定番です。

また、ぼたもちやおはぎ以外にもよくお供えされる和菓子があります。

そのお菓子は「落雁(らくがん)」といいます。

落雁は、穀類の粉に砂糖や水あめ、少量の水を入れて練り、木型に入れて押し固め、加熱・乾燥して作られるお菓子です。

蓮や桜、鯛やもみじなど様々な形で作ることができ、そこに着色料を加えることで、色鮮やかで華やかなお菓子になります。

落雁がお彼岸にお供えされるようになった理由は、おはぎやぼたもちのように諸説ありますが、昔は砂糖が高級品だったためといわれています。

高級品である砂糖は、普段から食べることができなかったため、ご先祖を供養する特別な品ものとして選ばれたようです。

他にも、落雁は水分が少なく、日持ちするお菓子であるため、お彼岸にお供えされるようになったという説もあります。

お彼岸にお供えする和菓子!ぼたもちやおはぎ以外におすすめは?

春と秋の年に2回のお彼岸は、家族や親族が集まる時期です。

ただ、お供えの定番であるおはぎやぼたもちを皆が持参して、食べきれないほど集まってしまったことがありませんか。

おはぎやぼたもちは、食べ応えがあるため1つや2つ食べれば十分ですし、ただでさえ日持ちのしない生菓子ですので、食べきれず処分することになってしまった、という方もいるかもしれません。

実は、お彼岸のお供えには、絶対おはぎとぼたもちをお供えするという決まりはありません。

したがって和菓子や洋菓子、フルーツなど、お供えする方が自由に選ぶことができます。

お供えものとしてよく選ばれているのは、和菓子では羊羹、饅頭、最中などです。

老舗和菓子店などでは、お彼岸シーズンになるとこれらの和菓子の詰め合わせが販売されることも多いですので、利用してもよいでしょう。

他にも、お煎餅やゼリー、焼き菓子、缶ジュースや缶ビールなども人気があります。

親戚宅に訪問する際は、家族構成や年齢層を考えて品ものを選ぶのもおすすめです。

また、お彼岸のお供えものの値段は、一般的に3,000~5,000円が相場とされています。

お供えもののお菓子を購入するときは、参考にしてみてください。

春と秋のお彼岸のお供えに!和菓子などのお菓子を選ぶときのポイント

春と秋のお彼岸のお供えにお菓子を選ぶときは、いくつか注意しなければならない点があります。

ここでお伝えする内容は、和菓子でも洋菓子でもどちらにも共通していえることですので、覚えておくとよいでしょう。

●日持ちの短いものは避ける

家庭によっては、お彼岸の7日間は品ものを食べずにお供えするということもあるでしょう。

そのため、できるだけ日持ちのするお菓子を選ぶようにしましょう。

先ほどご紹介した、羊羹や最中、ゼリーやお煎餅はどれも日持ちがするものですので、おすすめです。

ただ今回ご紹介した和菓子、おはぎやぼたもちなどを頂いた場合はどうすればよいでしょうか。

これら生菓子は日持ちがあまりしないため、お供えしている間に傷んでしまう可能性も考えられます。

このように、日持ちの短いお菓子に関しては、お供えした後に食べても構いません。

そもそも「供える」という言葉には、共に供する(一緒に頂く)という意味があります。

ご先祖様と分け合って頂くことで供養になるといわれており、お供えものを食べること自体は問題はないのです。

お彼岸のお供えにぴったりのお菓子を選ぼう

お彼岸のお供えには、おはぎやぼたもちが定番ですが、これらを絶対お供えしなければならないというわけではありません。

お彼岸のお供えに悩んだときは、日持ちのするもの、家族に合わせたものから選ぶと選びやすいかもしれません。

また、故人が好物だったお菓子などでもよいでしょう。

お彼岸は、比較的決まりごとが少なく、自由が利く仏事です。

お彼岸の意味をしっかりと理解して、お供えしましょう。