和食のマナーを覚えよう!正しいお椀の扱い方とは?

2019年12月10日

日本人であっても、和食のマナーが完璧であるとはいい切れません。

「正しいと思っていた食べ方が、実はマナー違反だった」ということもあります。

こちらの記事では、お椀の蓋の開け方や持ち方の正しいマナーと、刺身・天ぷら・お寿司の食べ方をご紹介するので参考にしてみてください。

和食に付いてくるお椀!蓋の開け方にも正しいマナーがある!

和食には細かな決まりがいくつかありますが、お椀の蓋の開け方にも正しいマナーがあることをご存知でしょうか。

こちらでは最初に、お椀の正しい蓋の開け方と、蓋が開けにくいときにできる対処方法もお伝えしましょう。

●蓋の開け方の基本

最初に、お椀の蓋を開けるときですが、「蓋を開けようとしたら蒸気の水がぽたぽたと落ちてきて困った…」という経験をされたことがある方もいるでしょう。

蓋を開けるときには「露切りの作法」というものがあるので、その作法を行いながら蓋を開けるのがおすすめです。

霜切りの作法とは、右手で蓋を持ちながら左手でお椀を支え、右側に向かって「の」の字を描くように蓋を開けるというものです。

このときに、蓋を回して傾けた状態で数秒間待つと、蓋の裏面に付いている水がお椀の中に入ってくれるので、蓋を持ち上げたときに水滴が落ちにくくなります。

蓋を取ったら、ひっくり返した後に右側に置きますが、もしもお椀が左側に置かれている場合は、左側に蓋を置くのが正しいマナーです。

お椀の蓋が開かない!無理やり開けるのはマナー違反?

和食で出てくるお椀の蓋の開け方やマナーをご説明しましたが、先ほどの方法で行ったとしても、うまく蓋が開かずに困ることもあるでしょう。

そんなとき、無理やり蓋を開けようと力を入れすぎてしまうと、お椀の中身をこぼしてしまうことになりかねません。

熱い汁物で肌を傷めてしまうと、美味しい食事を楽しむことができなくなるでしょう。

蓋が開かない原因は、湯気によってお椀の中に圧力が生じているためです。

もしも、蓋が開かない場合は、右手でお椀の蓋に手を添えて、左手の人差指と親指でお椀のふちを挟んで押すと、蓋とお椀のふちの間に隙間ができ、お椀の中の圧力が抜けるため蓋が簡単に開きます。

しかし、このときにあまり力を強く入れてしまうと、お椀が割れてしまうこともあります。

それほど強く力を入れなくても開けることができるので、「蓋が開かない!」という状況になったら、是非試してみてください。

和食に出てくるお椀を箸と一緒に持つのはマナー違反!

お椀の蓋を開けることができたら、次はお椀の持ち方を見ていきましょう。

基本的にお椀を持つときに、ほかのものを手に持つことはマナー違反です。

例えば、和食を食べ進めていると、箸を持ったままお椀を手に取りたくなることもありますね。

特に、お椀の中にある食材を食べるときはそうしたくなるかも知れませんが、正しくは次の方法なので覚えておきましょう。

①持っている箸を、一度箸置きに置きます。

②お椀を持ち上げますが、このときは両手でお椀を持ちます。

その際に、左手の親指以外の手でお椀の底を支え、親指でお椀のふちを持ち、右手はお椀の横に軽く添えます。

③お椀を持ち上げたら、右手の親指・人差指・中指で、箸を水平に取るようにして持ち上げます。

④箸の先のほうを「②」でお椀を支えている左手の薬指と小指の間に挟んでバランスを取り、箸を正しく持ち直します。

食べ終わりも正しいマナーを意識!お椀の蓋はどうやって戻す?

和食を食べ終わったらお椀の蓋を戻しますが、普段はどのように行っているでしょうか。

「お椀の蓋の内側が見えるようにお椀の上に重ねる」という方もいるかと思います。

これなら、お椀の蓋の水滴が落ちないため美しい作法に見えるかも知れませんが、実は間違ったマナーです。

表面が下にくることで、蓋の表面をお椀のふちで傷つけてしまう可能性があるためです。

料理店によっては、使用しているお椀が漆塗りのものもありますが、蓋の裏面を上に向けて置いてしまうと、漆が剥がれてしまう原因になるため、嫌がられることも多いようです。

お椀が並べられたときの状態に戻すのが、食べ終わった後の蓋の正しい戻し方です。

また、少しずらしておくほうがいいという方もいますが、これもお椀が割れてしまう原因になることもあるので注意してください。

お椀の蓋を「取り皿」に使うのは正しいマナー?

和食をいただく際に、手を皿のようにするのはマナー違反だということをご存知の方も多いと思いますが、お椀の蓋を「取り皿」にするのは問題ないといわれています。

汁気の多いものや取り皿を使いたくなるような料理が出てきたとしても、取り皿がない場合もあります。

その場合に、「懐紙」という紙や、お椀の蓋を取り皿にするのはマナーとして問題ないようです。

しかし、実際に和食のお店に行くと、お椀の蓋を取り皿として使用している方を見かけることは少ないでしょう。

迷った際は、お店の方に「取り皿をいただけますか?」とお願いしてもOKです。

格式の高い料理店だと、質のよいお椀を使っていることもあるため、できるだけ丁寧に扱いたいものです。

例えばお酢ですが、お酢は酸性であるため色の変色を招くことがあるので注意したいですね。

マナーとしては、お椀の蓋を取り皿にすることは間違いではありませんが、できるだけ使わないようにするほうがいいでしょう。

そのほかに気を付けたい!和食をいただくときのマナー

これまで、お椀についてのマナーをいくつかご紹介しましたが、こちらでは和食をいただくときのマナーをおさらいします。

●刺身

刺身をいただくときには、直接醤油を付けることや、わさびを醤油に溶かすのは間違ったマナーです。

うっかりやってしまう方も多いかもしれませんね。

正しくは、少量のわさびを刺身に乗せ、わさびを包み込むように刺身を2つ折りにします。

それから、刺身の端に少しだけ醤油を付けていただきます。

●天ぷら

天ぷらはさまざまなものが盛り付けてあるので、好きな順番で食べたくなりますが、盛り付けされている手前のものからいただくのが正しいマナーです。

また、天ぷらを天つゆに浸した後は汁が垂れるため、天つゆの皿を持って口に運びたくなりますが、懐紙や取り皿を使用してください。

●お寿司

お寿司は手で食べる方と箸で食べる方に分かれますが、どちらであったとしてもマナー違反ではないとしています。

どちらかというと手でいただくほうがいいとされていますが、ガリを食べるときは必ず箸を使ってください。

寿司店によっては、お寿司が盛り合わせのようになって出てくるところもありますが、このときは左から右に順番でいただくのが正しいマナーです。

一品ずつ提供する店の場合は、味の淡泊なものから注文しましょう。

味の淡泊なネタは、イカやタイ、カレイやサバなどのもので、アナゴや大トロなどの脂ののったネタは後で注文します。

お椀のマナーを覚えて和食を楽しむ

お椀に蓋が付いていると、どのように開けるのが正しいマナーなのか考えてしまうかもしれませんが、決して難しいことではありません。

基本的なこととして、お椀の中のものを食べたいときは、一度箸を置くことを覚えておきましょう。

また、刺身・天ぷら・お寿司の食べ方のマナーもお伝えしたので実践してみてください。