【仏壇にお参りするマナー】訪問してお参りする流れを知ろう

2020年03月11日

社会人になれば、誰かのお宅を一人で訪問し、仏壇にお参りすることがあるかもしれません。

その際には、どのようなことに注意すればいいのでしょうか。

基本的なお参りの流れや、数珠・香典・供物・服装などのマナーを知っておきましょう。

「仏壇」は日本に昔から存在した大切な文化

仏壇は、自宅にある「仏教の寺院」と言えるでしょう。

江戸時代に、国民すべてが寺院に所属することを定めた「寺請制度」が施工され、武士や庶民の家に、今のものに近い仏壇が置かれるようになりました。

しかし、同じような意味合いを持つものは、仏教が日本に伝わる前からあったと言われています。

昔の日本でも、亡くなった方の魂を祀る設備として「魂棚」があり、そのひとつとして飛鳥時代の「玉虫厨子」が広く知られています。

日本に古くから存在する「魂棚」と、仏教の「仏壇」が合わさって、日本独自の仏壇の文化が受け継がれています。

仏壇は、多くの方にとって、なくてはならないものです。

ご遺族が亡くなった寂しさを慰め、心のよりどころになっています。

伝統的な仏壇もあれば簡易的な仏壇もありますが、訪問した際にはマナーを守ってお参りさせていただきましょう。

訪問して仏壇にお参りする流れ

親しい方が亡くなって、そのお宅を訪問し仏壇にお参りすることがあれば、マナーをしっかり守り、敬意をあらわしたいですね。

家にうかがったら早めに、「お線香をあげさせていただけますか?」と確認して、仏壇の前に進んでください。

仏壇の前に行ったら、香典などをその前にお供えします。

香典や供物は、ご遺族の方に直接渡すのではなく、故人の魂が祀られている仏壇に置くのがマナーです。

供物の上に香典を乗せておきましょう。

もし、どこに置くのか分かりにくい場合は、「どちらにお供えすればいいでしょうか?」とご遺族の方に聞いても大丈夫です。

では、仏前に座った後のマナーをご説明します。

1.遺影(位牌)に軽くお辞儀をします。

生きている方にご挨拶するときと同様に、遺影(位牌)に目線も向けるといいでしょう。

2.お線香を1本取り、ロウソクから火を灯します。

ロウソクに火がなければ、そこに火をつけてから、その火をお線香につけてください。

ライターやマッチで、直接お線香に火をつけるのは、不作法と思われる可能性があります。

また、お線香の火が燃えている状態なら、手で振ったり吹き消したりせず、お線香を持っていない手であおいで消すようにします。

3.お線香を立てて、軽く頭を下げたまま、数珠を持った手を合わせます。

4.再度、仏壇に一礼し、遺族のほうを向いて礼をして仏壇の前を離れます。

宗派によるマナーの違い!お線香の数やあげ方

訪問して、仏壇にお参りする際のマナーには、宗派による違いがあります。

基本的なマナーを守っていれば、そこまで厳しく見られることはないと思いますが、宗派を教えてもらう機会があれば、それを守るようにしましょう。

たとえば、使うお線香の本数ですが、1本でいい宗派もあれば、数本使う宗派もあります。

浄土教は1~3本、浄土真宗は1本(折って2、3本にする)、曹洞宗は1本以上、天台宗は必ず3本です。

立て方もそれぞれに作法があります。

浄土真宗の供え方は、1本を短くしたものを横に寝かせてお供えします。

天台宗は、3本をつないだ線が正三角形になるような間隔(奥に1本・手前に2本)をとって立てます。

また、手を合わせる際に、「南無阿弥陀仏」や「南無妙法蓮華経」を唱えるものですが、この言葉も宗派によって異なるでしょう。

訪問する前に知っておこう!数珠の持ち方

訪問時の仏壇のマナーに関して、さらにご紹介します。

●数珠

弔問で訪問するときには、数珠を持っていきます。

持ち方には宗派による違いがあるので、ご参考までにお伝えします。

・真言宗

房はどちらの方向に垂らしてもいいのですが、数珠は一重で持ち、両手の中指にかけて合掌するようにします。

・天台宗

同じく房はどちらの方向に垂らしてもいいのですが、数珠は中指と人差し指の間にかけます。

・曹洞宗、臨済宗

数珠は2重にして左手だけで持ち、右手は添えて合掌します。

・日蓮宗

数珠は8の字にねじり、中指にかけて、左手側に3本の房が垂れるように持ちます。

・浄土真宗(東本願寺)

数珠を2重にし、房を上にして親指と人差し指との間に挟んで持ち、垂れた房は左手側に行くようにします。

・浄土真宗(西本願寺)

数珠を2重にし、手を合わせた際に両手にかかるようにします。

房はまっすぐ下に垂らします。

訪問してスマートにお参りするために!その他の仏壇のマナー

●りん(鈴)

仏壇に置かれているりんは、おりん、鏧(きん)、鐘(かね)とも呼ばれます。

縁を小さな棒で叩くと、「ちーん」という澄んだ音がしますよね。

その棒は「りん棒」と呼ばれます。

りんの音は基本的には「レ」の音になります。

読経の音程に合わせやすいのが「レ」の音だと言われています。

邪念を払ってくれるものとされていますが、浄土宗ではお経を読む際だけに鳴らし、お参りのときには鳴らしません。

また、鳴らす回数にも宗派による違いがあります。

例を挙げると、真言宗は2回、曹洞宗は2回か3回です。

鳴らすタイミングは、お線香をあげてから合掌するまでの間です。

強く鳴らしすぎたり、真上から叩いたりしないようにしましょう。

りんの角の外側か内側を軽く叩いたときの音が、りんの本来の音です。

もし音を消したい場合は、手でりんを押さえるのではなく、りん棒を当てるようにしてください。

●香典

香典袋の表書きのマナーですが、訪問する時期によって、書く言葉が違います。

・四十九日の前…御霊前
・四十九日以降…御仏前

(宗派によっては、いつでも「御仏前」でOKなこともある)

また、包む金額は、仕事の同僚なら5000円未満でも大丈夫ですが、親しい友達や知人の場合は5000円~10000円包むことが多いでしょう。

仏壇にお参りするためのマナー!迷惑がかからないように

引き続き、その他のマナーもお伝えします。

●供物

弔問の際に供物を持参することがありますが、どんなものを持っていけばいいのでしょうか。

供物は、仏様への敬意の気持ちをあらわすものだとされていますが、故人の好きだった食べ物や飲み物を持っていくことも多いでしょう。

また、焼き菓子など日持ちがするものや、新鮮な果物、お線香、花などが一般的です。

ふさわしくないものとしては、においの強い食べ物や花、飲み物などです。

●服装

友人や知人宅を訪問する際の服装は普段着でもOKですが、アクセサリーを付けて行ったり、派手な服装をすることはおすすめできません。

地味な暗めの色合いの服を選びましょう。

だらしない格好で行くのもNGです。

●座布団

仏壇の前に置いてある座布団には座ってもいいのですが、その上に立つことはマナー違反とされています。

●事前連絡

訪問する前には前もって連絡しておきます。

急に訪問すると失礼になるので注意しましょう。

故人やご遺族の方へ敬意をあらわそう

仏壇についてのマナーをご紹介しました。

訪問する前には連絡し、実際に訪れた後にもお参りの許可をとる一言を述べ、マナー違反には注意してお参りしてください。

細かい点は宗派による違いがありますので、事前に宗派を知っていれば、それに合った作法を選ぶといいでしょう。