故人を偲ぶ夏の風習をスムーズに!お盆の提灯は誰が買う?

2018年12月20日

人が亡くなってからの、弔い事の一つに「お盆」が挙げられます。

お盆と言えば、帰省ラッシュや旅行、盆踊りなどをイメージされる方も多いと思いますが、本来のお盆とは故人を偲ぶ風習です。

お盆の風習の中でも、仏前に飾る提灯は馴染みのある方も多いかと思います。

しかし、お盆の提灯は「誰が買うのか?」「どのような種類がるのか?」「いつ頃までに準備をするのか?」など、疑問に思っている方は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、お盆提灯の種類や贈り方、購入者についてを主にご説明していきます。

知っておいた上で準備をしたい!お盆の由来とその時期とは?

「お盆」とは故人や、先祖を供養する期間であり、また、この期間は魂がこの世に帰って来ており、共に過ごせると言われています。

では、お盆の由来とはどのようなものなのでしょうか。

お盆は正式には、「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といいます。

語源は、インドの「ウラバンナ」という古い言葉からきています。

お釈迦様の弟子の目連が、餓鬼道(地獄)に落ちて苦しんでいる自分の母親を救うために、食べ物などを修行僧たちに振舞ったことが、由来とされています。

この由来と、日本古来の先祖の供養が結び付いてできた風習がお盆とされています。

また、お盆の時期は、いつからいつまでの期間を指すのかをご存知でしょうか。

全国的に見てみると、主に三つの時期に分けられます。

これは、日本古来の旧暦から、明治時代に導入された新暦への変化の仕方に、地域差が生じたからです。

以下のようになっています。

①東京や関東の一部地域など

「新のお盆」「七月盆」とも言い、7月13日~15、16日にあたります。

②西日本全般、北関東以北などの日本の多くの地域

「月遅れの盆」や「八月盆」などと言い、8月13日~15、16日にあたります。

③沖縄県、奄美諸島など

「旧盆」とも言い、8月20日前後にあたり、毎年、日頃は変わります。

地域によっては、以上の期間とも異なる日頃にお盆の行事を行なう所もあります。

同じ日本でも、所が変わればお盆の期間も変わってきます。

お盆提灯を誰が買うのかという点と同様に、結婚して、今まで馴染みのなかった地域の親戚とのお付き合いが始まった方などは、注意が必要です。

何のために飾るの?お盆に提灯を飾る意味とは?

前項では、お盆の由来や時期について、ご説明しましたが、お盆提灯は何のために飾るのでしょうか。

お盆提灯は、故人や先祖の霊が帰ってくるための目印だと考えられています。

地域や宗派により違いはありますが、古来は、7月または8月の13日を「迎え盆」として「迎え火」を焚き、15日または16日を「送り盆」として「送り火」を焚いていました。

時代を経るごとに、提灯へ火を移して飾るようになり、さらに現代では提灯は電気式や電池式となっています。

現代でも、火を焚く風習が残っている地域や家庭はありますが、多くは電気や電池で明かりを灯すお盆提灯が、火の役割をしています。

現在、主に飾られているお盆の提灯は、いくつかの種類があります。

以下にご紹介していきます。

●置き型提灯

「大内行灯(おおうちあんどん)」

足が三本付いており、床に置くタイプです。

丸い火袋の中に、回転灯が入ったタイプは、絵柄がクルクルと周ります。

銘木で作られている物、プラスチック製の物などがあり、値段や質も様々です。

一対で飾るのが基本です。

●吊り下げ提灯

・御殿丸提灯

真丸の形をした火袋の吊り下げ提灯です。

房が付いているのが特徴です。

・御所提灯(壺型提灯)

真丸よりも長く、壺型の提灯です。

・住吉提灯

円筒の形をした、長い提灯です。

福岡県の博多が発祥とされています。

以上のように、お盆提灯は大きく分けると、置くタイプと、吊り下げるタイプの二種類となります。

地域や宗派によって、ご紹介した物以外にも、まだまだ多くの種類が使われています。

親戚などの贈る方たちの中で、どのタイプを誰が買うのかを、よく調べて相談し、準備をしていく必要がありますね。

亡くなって初めてのお盆は白提灯を準備!初盆の白い提灯は誰が買う?

亡くなって初めて迎えるお盆を「初盆」または「新盆」といいます。

亡くなって、四十九日忌を過ぎてから初めて迎えるお盆であり、お盆の後に四十九日忌が来る場合は、翌年が初盆となります。

初盆を迎えるにあたり、準備をする物の代表的な物が、お盆提灯です。

初盆の提灯は、絵柄の入っていない「白紋天」という白提灯を、玄関や部屋に飾ります。

この白提灯は、初盆のときにのみ飾る提灯であり、故人の家族が用意する提灯です。

初盆のときの白提灯は、翌年には飾らないため、初盆が済んだら、お焚き上げをして燃やしてしまうものでした。

最近では、自宅で燃やすことが困難なため、お寺などで処分をしてもらうなどをしておられる方もいらっしゃるようです。

初盆ならではの白提灯を誰が買うのか悩まれたら、故人の家族(喪家)が買うという点を覚えておいてくださいね。

また、お盆提灯の正式な飾り方としては、「精霊棚」という盆棚の前に、一対で飾るのが基本です。

精霊棚とは、仏壇の前に作る祭壇のようなものです。

故人や先祖の霊が帰ってくるために、位牌を中心に置き、お香を設置します。

その他に、お供え物を飾りますが、地域によって様々です。

その中でも、なすの牛と、きゅうりの馬は、お盆を象徴する飾り物としてご存知の方も多いのではないでしょうか。

「来るときは、きゅうりの馬に乗って早く」、「帰るときは、なすの牛に乗ってゆっくり」という考えで飾られます。

最近では、仏前にテーブルを置き、季節の野菜や果物、故人の好物を供えるスタイルを取る方も増えているようです。

白提灯と合わせて飾りたい!絵柄入りのお盆提灯は誰が買う?

前項では、初盆の際に白提灯を飾り、その白提灯は故人の家族が用意をするとご説明しました。

では、絵柄入りのお盆提灯は誰が買うのでしょうか。

絵柄入りの提灯は、故人の兄弟や喪家ではない子ども、親戚が贈ることが一般的となっていました。

お盆提灯は、その数が多いほど、故人が人から慕われていたことを表すとも言われています。

また、提灯は故人や先祖が帰ってくるための目印でもありますが、お世話になった故人への感謝や供養の気持ちを表すものでもあります。

そのため、親戚以外からも、複数の提灯をいただき、飾る場合があります。

その場合は、内側から血縁関係が濃い順番から飾るようにします。

お盆の提灯がたくさん集まることは、故人を偲ぶ気持ちの表れであり、良いことですが、最近では、住宅事情により飾る場所が限られていることも考慮しなければなりません。

可能であれば、故人の家族に提灯についての相談をし、負担にならないように飾っていただきましょう。

兄弟や子どもたちの中で、お盆提灯を誰が買うか、提灯の種類や大きさ、絵柄はどのようなものにするかなど、意見がまとまらないこともあるかと思います。

お盆提灯を販売している店舗に足を運べる方が、実際に提灯を見て、目星を付け、他の兄弟に写真をメールで送るなどをして、やり取りをしている方もおられます。

どなたかがリーダーシップをとり、贈る方たちの中で、よくご相談をして決められると良いでしょう。

最近は誰が買うかは様々!お盆提灯のための現金でのお供えはOK?

初盆の際の、「白提灯」は故人の家族が買い、「絵柄入りの提灯」は故人の親戚などの周りの方々が贈るとご説明してきました。

しかし最近では、住宅事情により数多くのお盆提灯を飾ることが難しいお宅も増えています。

そのため、最近では親戚など周りの方々は、提灯の購入のための現金を贈り、故人の家族が絵柄入りの提灯を用意することも増えています。

また、初盆の際に飾る白提灯は、翌年には飾らないため、「一回限りのために購入することがもったいない」という考えのお宅は、絵柄入りの提灯のみを飾られている場合もあります。

その場合にも、親戚などからいただいた提灯代をあて、質の良い提灯を購入し、長く大切に飾っておられる方もおられます。

現金で盆提灯の代金をお供えするには、不祝儀袋に入れて贈ります。

その際の表書きは、「御提灯料」や「新盆提灯料」などとします。

包まれる現金の相場は、地域や家庭によって様々ですが、兄弟などの親戚は1万~2万円あたりがよいでしょう。

親戚以外の知人の方などは、もう少し少なめの5000円程度でも失礼ではないでしょう。

ご兄弟や子どもたちで、提灯の代金をお供えされる場合は、よく皆さんで相談されることをお勧めします。

お盆提灯は、七月の盆の方も、八月の盆の方も、遅くてもその月の一日には飾るようにします。

そのため、あまりにも遅いと、故人の家族に対して失礼にもあたります。

誰が買うのかをはっきりとさせ、故人の家族がスムーズに提灯を準備できるようにしましょう。

お盆のお供えのお返しはどうするの?提灯やお供え物の返礼の方法とは

ここまでに、お盆の由来や、お盆の提灯を誰が買うのかということについて触れてきました。

では、お盆の提灯をいただいたら、どのようにお礼をすれば良いのでしょうか。

また、初盆では、仏前に手を合わせに来る方や、お供え物を贈ってくださる方も多いでしょう。

ここでは、お盆にいただいた提灯や、お供え物のお返しについて、ご説明をしていきます。

まず、お盆の際に法要を執り行い、その席に呼んだ方から提灯や、提灯料をいただいた場合は、その席の会食や引き物をお返しの品として捉えて構いません。

しかし、かなり高額の提灯や提灯料をいただいていたり、法要の際にも「御仏前」をいただいたりをした場合は、改めてお返しをするのがマナーです。

その際のお返しの品は、お茶や海苔のセット、素麺など、消えてなくなる品が良いでしょう。

お返しの品には「志」や「初盆志」として書き、礼状を添えると尚良いでしょう

このお返しの方法については、他のお供え物や、御仏前についても同様です。

お返しをする金額は、地域や家庭によって違いがありますが、いただいた金額の半額~3分の1程度の品をお返しすると良いでしょう。

法要の席で既におもてなしをした方や、金額がわからないお供え物をいただいた方などには、3000円~5000円程度の品を選んで贈ると良いでしょう。

また、初盆では、迎え盆以前にも、焼香にお参りに来られる方もおられると思います。

その際に、その場で500円~1000円程度の品を「粗供養」、「志」としてお渡しする準備をしておくと、より丁寧な対応となるでしょう。

贈り主の方々からの、故人への供養の気持ちをありがたく頂戴し、失礼のないようにお返しをすることも、忘れずにいたいものですね。

しっかりと相談・準備をしてお盆を迎えよう!

お盆、特に初盆では、提灯の購入に関しての相談が重要になってきます。

お盆の風習や、お盆提灯の飾り方などは、地域やその家庭によっても違いがあります。

また、時代を経るごとに、お盆の提灯のタイプや飾り方も変化してきています。

最も避けたいのが、納得のいくお盆提灯が準備できなかったり、間に合わなかったりするなどの惨事です。

故人の供養をする気持ちを忘れず、しっかりと質の良いお盆が迎えられるように、故人の家族や、共に贈る方とよく相談をして早めに準備をしておきましょう。