着付けで習う帯結びお太鼓!完全マスターで新しい自分を発見
2019年11月10日着物を着る時に、自分で着付けをしたり着付けをお願いしたりすることがあります。
女性が、ちょっとしたお出かけから正装として着物を着る時に、一番良く使われる帯の結び方が「お太鼓」です。
お太鼓は、お太鼓部分が一重のものと二重のものがあります。
このお太鼓にはどんな違いがあるのでしょうか。
そして、着付けの方法はどんなものがあるのでしょうか。
今回は、初めての人でも挑戦できる、帯結び「お太鼓」の着付けについてご紹介しましょう。
目次
お太鼓は着付けを習う人の最終目標の帯結び
礼装や略礼装、普段使いで着物を着る時に、既婚女性の場合の帯結びは「お太鼓」になります。
お太鼓には帯が一重になった結び方と二重になった結び方があります。
訪問着や付け下げ、留袖といったおめでたい華やかな着物を着る時には、袋帯を使って二重太鼓と呼ばれる帯結びをします。
二重太鼓は、着付けを学ぶ人にとって、最終的に自分で結びたい帯結びです。
お友だちとの食事や会席、お茶会といった時はもちろん、結婚式や子供の入学式などの式典でも使う結び方です。
そのため、着付けを習う人の中には、「まずは二重太鼓を自分で結べるようになる」ということを目標としている人が多くいます。
しかし、袋帯は決して安価なものではなく、帯によっては刺繍などが多く結びづらいものもあります。
また、着物は洗うことができるポリエステル素材のものもありますが、帯はどんなに安いものでもほとんどが絹です。
そのため、新品なら、どんなに安いものでも反物で数万円以上になり、簡単に購入できるものではありません。
たとえ自分で帯を持っていても「練習のために高額な良い帯を使うのはもったいない」という人もいます。
そこで、今人気のリサイクルショップで、練習用の帯を購入する人も増えているようです。
「いよいよ本番が近い」ということになった時に、良い帯を使って自分で締める練習を始めると良いでしょう。
今回は、「二重太鼓を結びたい」という人のために、比較的簡単にできる結び方をご紹介しましょう。
着付け教室で教える帯結びまでの準備
袋帯で二重太鼓をする時に、昔ながらの帯枕を使う方法が一般的です。
着付け教室ではここまでの過程に、1~2年の練習が必要となります。
しかし、最近は少しコツを掴むための練習をすれば、誰でも楽に二重太鼓を作ることができる「改良枕(美容枕)」というものがあるようです。
色々な着付け教室で利用している改良枕は、呉服を扱っているほとんどのお店で購入できます。
そのため、短期で着付けを教えている教室では、改良枕を使った帯結びを取り入れるようになっています。
改良枕を使うと、あらかじめお太鼓の形を作っておくこともできるため、朝早く着付けをして出かける時にも便利です。
しかし、着物は帯を結ぶ以前の段階にも、注意することがたくさんあるので、まずは基本的な着物の着方を勉強することが大切です。
短期の着物教室でも、はじめの2~3回は、肌襦袢や長襦袢の着方、伊達締めまでの着物の着方に時間を使います。
着物の裾がキレイに足袋の甲に添うようになって、初めて帯結びに入ります。
これは短期だけでなく、長期の着付け教室でも同じです。
まずは着付けの基本的なマナーを学び、着物を形よく着ることができて、初めて帯の結び方を学ぶことになります。
長期の場合は、ここから着物の種類によって違う帯の結び方や、目的別の着物の選び方や着方、他人への着せ方を学んでいきます。
短期の場合は、ある程度着物を着る形になったら袋帯に入り、自分で簡単に着付けをするという流れで数カ月で終了します。
同じ着付けを学ぶことを目的にしても、期間や流派と色々あり、ほとんどの教室では、何年も通って免状と看板をもらいます。
自分で自然に着られるようになるものから、プロとして他人にも着付けができるようになるものまで様々です。
改良枕で二重太鼓を作ってみよう!
短期の間に自分で着付けができるように仕上げる教室では、はじめから小紋の着物に袋帯を用意するように言われます。
そしてここで必要になるのが「改良枕」です。
改良枕は、呉服を扱うお店はもちろん、インターネットで購入することもできるようです。
それでは、改良枕を使って、初心者でもできる二重太鼓を結んでみましょう。
まずは、着物を着て帯板を先につけておきます。
帯板といっても、昔ながらのものではなく、ゴムで後ろ側を止められるものを利用しましょう。
【用意するもの】
・袋帯
・帯締め
・帯揚げ
・改良枕(美容枕)
・改良枕用ガーゼ
・仮紐
・着物用クリップ
・S字クリップ
【結び方】
①まずは、肌襦袢・長襦袢を着て、その上に着物を着ます。
着物を着たら、後ろ衿の衣紋が適度に抜けているか、前の合わせがのどの位置よりも外側に広がっていないか、裾線が足袋の甲の位置になっているかを確認します。
帯板をして、背中に補正用のタオルを入れておきます。
②帯をひざの長さに合わせて、目の前に屏風だたみにします。
2往復半たたんだら、胴に巻く分を決めます。
胴に巻く方は、幅を半分に折って、柄どまりのところから胴に一周します。
一周したところにクリップをして一度外します。
③クリップをしたところに三角を作り、広げた帯と半分に折った帯が自然と馴染むようにします。
胴に巻く分を改良枕の中に入れて通し、三角に折った帯の上に乗せます。
この時、三角の頂点が改良枕の底に、底辺が枕部分になるように乗せて下さい。
④改良枕の上にたれ先を被せて、枕の長さプラス指1本分の長さを取ります。
この時、たれ先は改良枕の底から、指1本分が外側まで出たようになります。
⑤たれ先を動かさないようにして枕部分の帯をしっかりと持って、帯で枕を覆うようにしっかりとつかみましょう。
帯は枕分が内側に入ります。
その上から改良枕用ガーゼを被せます。
ガーゼの上に帯揚げを被せます。
⑥着たときに左右になる改良枕の紐、ガーゼ、帯揚げを上下に振り分けておきましょう。
⑦残りの帯をしっかり伸ばすと、輪になります。
輪になった部分をしっかりとたたみ、そのまま改良枕の上まで持っていきます。
⑧改良枕の枕部分をしっかりと持って、ひざの上に乗せます。
この時、上下に振り分けた紐類を左右に振り分け直して下さい。
改良枕の裏側に、帯の三角が出るように整えます。
⑨右手で、改良枕の紐の付け根から拳一つ分外側を、右手に一巻きして、しっかりと持ちます。
⑩紐と一緒に、改良枕の底の部分と帯をしっかりと持ち、全体を背中側に持って行きます。
この時、正座して帯を作っていた人は、立ち上がりながら帯を背中に回します。
左手側もしっかりとつかみ、背負うようにしてお太鼓を背中に沿わせます。
⑪改良枕の紐を右前の左衿の上でしっかりと片花結びをします。
ガーゼは左前で同じように結びます。
帯揚げは、借り結びをして帯板に入れて挟んでおきましょう。
⑫「て」を胴に巻き付け、2周目の左前の位置(中心よりも3cmほど左)でS字クリップを止めます。
「て」とは、身体に巻き付けた時に細くなっている方のことを指します。
⑬S字クリップを折り返しにして、残りの「てさき」分を帯の内側に重ねながら、一度外します。
⑭再度、「て」の部分をしっかりと胴に巻き付けます。
1周するごとに、帯の下線を持って身体に沿うようにしっかりと締めます。
⑮左前に来た「てさき」を着物用クリップでしっかりと前帯全体に止めておきます。
⑯仮紐を背中に回し、たれの上に乗せ、お太鼓分の帯をその上から重ねます。
仮紐は、ちょうど胴に巻いた帯の下線の位置になるように持ちます。
位置が決まったら、お太鼓分の帯の方に移動して、紐と帯を合わせて左右に引っ張ります。
その下に余ったお太鼓分の帯を中に持ち上げて、お太鼓の中に隠しましょう。
⑰仮紐を前側に持ってきて、しっかりと結んでください。
結ぶ位置は、帯の下線より少しだけ上にしておきます。
⑱前で留めていた着物用クリップをはずし、「てさき」を背中側に回して、帯のお太鼓とたれ先の間に入れます。
この時、「てさき」は二重にしたお太鼓のすぐ内側を通るようにします。
⑲「てさき」の上に、帯締めを通して前でしっかりと結びます。
仮紐、着物用クリップをはずし、帯の形を整えます。
最後に、帯揚げをきれいに整えて締めましょう。
これで、二重太鼓の帯を結ぶことができました。
最近は、色々な便利グッズができているため、キレイに形良く二重太鼓が作れるようです。
着付けの初歩!名古屋帯のお太鼓
ちょっとしたお出かけの時に、小紋の着物に合わせて名古屋帯というものを使うことがあります。
袋帯と違い、名古屋帯はある程度形が作られているものがあります。
そのため、袋帯よりも簡単に締めることができます。
帯の価格も袋帯よりも安価で購入できるので、着物をちょっとしたお出かけにも着てみたい人は、1本持っていると便利ですね。
名古屋帯には、織りの帯の他にも染の帯があり、さらに帯の中に芯が入っているものと入っていないものがあります。
夏の帯なら絽や紗といった薄手の一枚仕立てのものもあり、素材を変えることで一年中使えます。
帯全体の長さも短めで軽いため、普段使いになります。
お太鼓は一重になり、手軽に結ぶことができます。
しかし、普段使いといっても浴衣やウールといった着物では、あまり名古屋帯を合わせることはありません。
小紋の着物と名古屋帯は、洋服で言うとジャケットにスカート、ブラウスにスカートといった仕事着のような感覚で着られる和装です。
浴衣やウールの着物は、洋服で言うトレーナーやジーンズといったところでしょうか。
そのため、普段使いといっても、完全な休日の普段着というわけではありません。
名古屋帯は時代によっては、子供の入学式に着る無地の着物で締めていたこともあります。
以前は、自分で着物の着付けはできても、帯は結べないという人のために、お太鼓の形ができている作り帯というものもありました。
名古屋帯と同じ細くなった締める部分を胴に巻いて、すでに形が作られた帯を背中で乗せ、それらしく見せるだけのものです。
しかし最近は、「帯が結べないなら洋服で」というのが主流になり、作り帯というのはほとんど見かけなくなりました。
着付けの基本!名古屋帯でお太鼓を締めてみよう
名古屋帯のお太鼓は、袋帯と比べると簡単なので、着付けを習い始めると最初に学ぶ課題になります。
名古屋帯は小紋の着物で締めることが多いですが、紬などの着物でも合わせることがあります。
まずは、着物を着ましょう。
着物は、肌襦袢・裾除け・長襦袢の順で着付けていきます。
この時、肌襦袢と裾除け替わりに着物用のすその長いスリップを着る人もいます。
また、夏の暑い時は、肌襦袢に長襦袢の袖だけを付けた、簡易型長襦袢を着ることもあります。
かるた競技で着物を着る人は、より動きやすいように、こういった下着を身につけないこともあります。
なかには、普通のタンクトップに衿だけを付けて着物を着てしまうこともあるそうです。
しかし、基本としては、下着の着付けから学んでおくと良いでしょう。
それでは、名古屋帯を締めてみましょう。
【用意するもの】
・名古屋帯
・帯締め
・帯揚げ
・帯板
・帯枕
・仮紐
【結び方】
①まずは、名古屋帯を締めやすいようにたれになる部分を屏風だたみにします。
その上に、細くなっている部分を重ねて屏風だたみにします。
この時、細くなっている方が、身体に巻き付く「て」という部分になります。
お太鼓になる方は、袋帯と同じ「たれ」といいます。
②立膝をついて、左肩に、「てさき」をかけます。
「てさき」は、帯幅の中心が肩先から外れないようにかけ、長さはウエストの位置まで持ってきます。
③帯を巻きます。
巻くときは、名古屋帯の「輪」の方を下側にします。
帯の巻く位置を、1周目で決めて帯板を入れます。
④胴に2周します。
1周ごとに、「て」の輪と、胴に巻いた帯の輪を持って軽く引き、帯を身体に沿わせます。
⑤「て」をおろし、「て」の輪と胴に巻いた帯の輪が交わっている一点を、後ろ腰の位置でしっかりと左の指で押さえます。
⑥右手で「たれ」を、胴に巻いた帯の上線のところまで持ち上げます。
この時、左手で押さえた「たれ」の部分も自然に斜め上に折りあがります。
⑦胴に巻いた帯の上側の位置に、仮紐を当て折り上げた帯をしっかり抑え、前に通して結んでおきます。
⑧「たれ先」より、80cmくらいのところで帯幅を左右に広げ、ピンと張り帯山とします。
柄がピンポイントにある「お太鼓柄」の時は、柄が中心にくることを確認しましょう。
帯が短い場合は、仮紐よりも15cmくらい下を帯山にします。
⑨帯山のところをきちんとそろえるために、帯山で折ったところから8~10cmくらい、重なった帯の両耳がきれいにそろっていることを確認します。
⑩左手で帯山を深めに持ち、右手で帯山の位置に帯枕を入れます。
帯枕と帯の中心が合うように、左右対称になるように入れましょう。
⑪左手で、帯枕ごと、帯山をしっかりと深く持って、仮紐と帯山との間の帯幅をきれいに広げます。
広げたところを、右手で下に下げるようにして、左手の帯枕を上に上げます。
⑫帯と帯枕の紐(枕紐)を左右の手で持ち、帯枕で仮紐を抑えるようにします。
帯枕の紐と帯の耳を両脇に引いていきます。
⑬背をまっすぐにし、枕紐を両脇でやや下向きにひくようにし、帯枕をピッタリと背中に沿わせるようにして前で結びます。
⑭帯枕の下に三角のたるみができるので、左右に引いてから帯揚げを帯枕にかけます。
帯揚げは、帯揚げを包むようにしてください。
帯揚げは、前で仮結びしておきます。
⑮お太鼓の大きさを決めます。
背が高い、年齢が若い時はある程度お太鼓は大き目でも良いですが、年配の女性や背が低い人は少し小さめにします。
お太鼓のもち上げる長さの目安は、両手を後ろにして帯を持ち、伸びた指先が触れる場所にしましょう。
指先の位置で、両手で耳を持ちピンと左右に引きます。
⑯指先で持ったまま、帯枕の位置まで持ってくるようにひじを曲げると、おおよそのお太鼓の大きさがわかります。
お太鼓の決め線よりも、人差し指1本分の長さを取り、たれの長さを決めます。
⑰右手をお太鼓の中深くに入れ、左手で「て元」を整え、「てさき」を持って右手に渡します。
左手でお太鼓の決め線を抑え、「てさき」を袋になった帯の中から引きだします。
「てさき」は左右2~3cm帯の幅よりも出します。
⑱右手でお太鼓の決め線を上から抑え、安定させてから、て元のあまり分を帯の立ち上がりの裏側に入れておきます。
⑲左手をお太鼓の中に入れ押さえ、右手で2つ折りにした帯締めの輪を持ち、お太鼓の中に入れます。
帯締めは、帯の下線に合わせてお太鼓の中を通し、左右の手で持ち前で締めます。
⑳仮紐を取り帯揚げを締め直します。
以上が名古屋帯の締め方です。
長い工程のようですが、着付けの中では慣れると一番簡単な名古屋帯になります。
帯をお太鼓結びにして街散策
自分で、お太鼓結びができると、着付けもできるようになります。
最近は、日本の文化が海外の人の間で人気が高くなっています。
そのため、京都や金沢といった観光地だけでなく、都内でも着物姿をする女性を多く見かけるようになりました。
日本橋や神田、浅草周辺で見かける着物姿の人は、小紋や付け下げ・紬の着物に帯はお太鼓結びといった組み合わせです。
特別なことがなくても、百貨店や街中のお店に入って買い物をしたり、食事をしたりしています。
また、年配の方ばかりでなく、若い女性でも着物を着る人が増えています。
中には、大正ロマン風の姿を意識しているのか、着物に短いブーツを履いている人も見かけます。
戦前の女性は、家事をする時も、着物姿でした。
この時も、帯はお太鼓結びにしていたようです。
昔の日本の日常でのお太鼓結びは、このように気軽な場でも利用されていた帯結びです。
今は、特別なことがないと着ることがない着物ですが、普通に街歩きをしてもおかしくない服装と言えます。
着付けとお太鼓結びをしっかり覚えておくと、気軽に着物が着られるようになります。
お出かけの時にさりげなく和装をしたら、いつもとは違う新しい自分を発見できるかもしれません。
お太鼓結びをマスターして普段使いで着物を楽しもう!
着付けの時に必要な帯結びの「お太鼓」についてのご紹介しました。
お太鼓は、既婚女性が普段使いでも締めることができる、基本の帯結びです。
これから、子供の入園や入学などの行事を控えている女性は、着物を自分で着られるようになると良いですね。
着物の着付けを覚えたら、次にお太鼓結びをマスターしましょう。
ぜひ、これからは式典だけでなく、気軽な買い物や食事に着物姿でお出かけしてみてください。