礼服のマナーが気になる!ダブルスーツには年齢が関係する?

2019年11月10日

年齢を重ねるにつれ、冠婚葬祭など礼服が必要な場面が増えてきますよね。

事前に礼服を準備しておくと、行事があった際に慌てずに済みます。

しかし、いざ礼服を購入する際に「礼服に種類やマナーはあるのだろうか?」「シングルスーツとダブルスーツの着用に年齢は関係するのか?」など気になることがあるでしょう。

今回は礼服のマナーと、シングルとダブルではどちらのスーツが良いのかについてご説明します。

買い替えることがあまりない礼服なので、購入の失敗がないように、ぜひ参考にしてください。

礼服の格式を3種類に分けてご説明

礼服とは、冠婚葬祭などの式典において着用する衣類のことです。

年齢を重ねるにつれ、よりマナーを守って礼服を着用することが、印象や信頼感の上で大切になってきます。

礼服は格式により3種類に分けられます。

まずは最も格式が高い「正礼装」です。

公式な式典や、結婚式の新郎が着用するものです。

具体的には、昼間はモーニングコート、夜は燕尾服を着ます。

モーニングコートは、フロックコートの前裾のみを斜めにカットし、後ろは長く残したジャケットのことを言います。

燕尾服は、ジャケットの裾後ろに燕の尾のように切り込みが入っているもののことです。

次に「準礼装」です。

結婚式の主賓などが着用するものです。

昼はディレクターズスーツ、夜はタキシードが挙げられます。

ディレクターズスーツとは、黒のジャケットにグレーのコール地ストライプパンツをあわせたものです。

タキシードは、ジャケットに蝶ネクタイをし、ベストもしくはカマーバンドという腹部に巻く飾り帯を身に着けるものです。

最後に「略礼装」です。

結婚式や式典などの出席者が着用するものです。

ダークスーツ(紺やグレーのスーツ)やブラックスーツ(黒のスーツ)が挙げられ、形もシングルスーツとダブルスーツの2種類があります。

葬儀にはブラックスーツを喪服として着用しましょう。

通夜は本来、黒に近いグレーなどのダークスーツで出席するのがマナーです。

喪服を着て参列すると「不幸をあらかじめ予想していた」という意味を示すと捉えられることがあります。

しかし、最近では厳密な決まりではなく、通夜から喪服を着る方も増えてきました。

礼服とビジネススーツは違う!年齢を重ねた方の印象に注意

現代、一般的に「礼服」というと、結婚式や式典、葬式の出席などで一番着用の機会がある「略礼装」を指すことが多いです。

以下、略礼装のことを「礼服」と表現します。

ビジネスの場で礼服を着用することはありませんし、礼服をビジネススーツで代用することもできません。

では、礼服とビジネススーツの違いは何でしょうか。

礼服とビジネススーツの違いについてご説明します。

まず、色の違いが挙げられます。

同じ黒でも、礼服のほうがより濃く深い黒で、ビジネススーツは少し薄い黒です。

並べると差が分かります。

太陽の光に当たると差は歴然です。

お祝いの席はまだしも、お悔みの場面では必ず漆黒の礼服(喪服)を着用しましょう。

年齢を重ねた方は特に、喪服でないことに対し気分を害されることがあるので注意してください。

また、生地の質にも違いがあります。

礼服はウールが多く使用されているため、マットな質感です。

ビジネススーツは、ポリエステルをはじめ、さまざまな生地で作られているため、光沢があります。

次にデザインの違いです。

まず、ジャケット裾のデザインです。

ジャケットの後ろ身ごろの裾に入っているベント(切り込み)がないものがよりフォーマルとされており、礼服は切り込みのないノーベントという種類のデザインです。

ビジネススーツは動きやすさを重視しており、後ろ身ごろの裾真ん中に1本切り込みが入っているセンターベントが主流です。

後ろ身ごろの裾両側に2本切り込みのあるサイドベントというデザインもあります。

襟のデザインにも違いがあります。

礼服のジャケットの襟にはステッチはなく、ビジネススーツの襟の淵にはAMFステッチと呼ばれる手縫い風ステッチが施されているものが多いです。

このように、礼服とビジネススーツは全く別物だととらえてください。

次に礼服のシングルスーツとダブルスーツの特徴を次項よりご説明します。

礼服におけるシングルスーツとダブルスーツの特徴をご説明

礼服にはシングルスーツとダブルスーツがあるのは一般的によく知られています。

2つのスーツの特徴をご説明します。

シングルスーツは正式には、シングルブレステッドスーツといい、ジャケット前身ごろのフロントボタンが1列に並んでいるものを指します。

ボタンの数は2つボタン、3つボタン、段違い3つボタンがあります。

段違い3つボタンは、襟の後ろに第1ボタンが隠れているデザインをしています。

ボタンの数に決まりはありませんが、日本では2つボタンが主流です。

2つボタンは襟の空き具合が深く、日本人の上半身を一番綺麗に見せてくれるからだと言われています。

2つボタンの場合、上段1つのみ留めて、下のボタンは外しておくのが正しい着方です。

襟(ラペル)のデザインはノッチドラペルというひし形のシルエットの襟が定番となります。

一方のダブルスーツですが、正式にはダブルブレステッドスーツと言います。

ジャケットの前身ごろのフロントボタンが2列に並んでいるものです。

ボタンの数は縦2つ横2つの4つボタンタイプ、縦3つ横3つの6つボタンタイプがあります。

また、ボタンの並び方の違いで、オールインライン(平行に並んだボタン)、スプレッドアウト(V字型に並んだボタン)に分けられ、ラインによる飾りボタンの用い方で、実際にかけるボタンの数も違ってきます。

ダブルスーツの場合は、留められるボタンはすべて留めて着用するのが正しい着方です。

襟のデザインはピークドラペル(上襟の先端が上を向いている)が主に用いられています。

それでは、礼服において、シングルスーツとダブルスーツで着用する場面や年齢に差はあるのでしょうか。

シングルスーツ、ダブルスーツの歴史を踏まえつつ、次項でご説明します。

シングルスーツとダブルスーツの歴史

スーツの原型は、15世紀にイギリスで乗馬の際に着られていたフロッグコートです。

当時は、風除けのため襟が高く作られた軍服でした。

18~19世紀にイギリスの貴族にフロッグコートが広まり、正装化したと言われています。

より快適な着心地を求め、立て襟から背広襟になり、足さばきが良くなるよう丈も短くなっていき、現在の礼服などのスーツの形に変化をとげました。

着用にあたって身分の差を示すことには用いられましたが、着用年齢の決まりなどはありませんでした。

その後、ヨーロッパ、アメリカなどに広まり、日本で礼服が用いられるようになったのは大正時代です。

シングルスーツもダブルスーツも同じ歴史の流れですが、ダブルスーツのデザインのほうがより実用的に使われていました。

ボタンが2列なので前身ごろに使用されている布も多く、またどちらにも留めることが出来るため、軍服時代は防寒効果の高い服として船乗り等が着用していました。

ダブルスーツ以外に名残が残っている衣類として、ピーコートが挙げられます。

次より、現代のシングルスーツとダブルスーツの着用における風潮を検証し、ご説明していきます。

シングルスーツとダブルスーツの着用に年齢は関係する?

現代、シングルスーツとダブルスーツの着用における風潮が多々あり、これが礼服を購入するにあたって迷う原因になっています。

まず、「シングルスーツよりダブルスーツのほうがよりフォーマル」という意見を聞くことがあります。

実際は、シングルスーツとダブルスーツの格の違いはありません。

どのような場面でも、どちらも同じく礼服として着用できます。

むしろ、歴史的にはダブルスーツのほうが実用的でカジュアルな用途であったと言えます。

また、「シングルスーツは若者向け、ダブルスーツは年配の方向け」「シングルスーツは未婚者、ダブルスーツは既婚者」といった、年齢や立場で着用する礼服の形が異なるかのように言われますが、実際はマナーとして決まりはありません。

着用する年齢に決まりがあるような風潮になった要因は、まずダブルスーツのシルエットが横に広く重厚なことが挙げられます。

恰幅の良い方も多い年配の方にはダブルスーツが好まれ、若者は細身のシルエットを好むためシングルスーツが主流になりました。

またバブル時代にダブルスーツが流行したことも挙げられます。

バブル期を過ごした年配の方は「ダブルスーツが礼服として基本」という観念を持っている方が多く、逆に若者の間では流行おくれのデザインとして避けられていました。

実際には、シングルスーツにもダブルスーツにも、格や立場、年齢などの決まりはないため、礼服を購入する際はご自身の好みで選べます。

若い年齢にもダブルスーツが人気に

最近では、若い年齢に向けたアパレルブランドからもダブルスーツが販売されるようになり、店舗内でのシェアを拡大しています。

礼服におけるダブルスーツにおいても、以前と比べてウエストが絞られ、シルエットが細身に作られるようになり、スタイリッシュになっています。

それに伴い、以前にあったシングルスーツとダブルスーツの着用における風潮もなくなってきており、若者の間でもダブルスーツの人気が出ています。

以前に比べ、デザインにおいて礼服を選ぶ幅が広がったと言えます。

定番の礼服とはいえ、時代によって風潮や流行も今後少しずつ変わっていくので、数年で買い替えることも念頭に置いて自分の気に入ったデザインを選ぶと良いでしょう。

最近では礼服のレンタルのお店もあります。

式典の出席などあらかじめ日にちが分かっている場合は利用するのもおすすめです。

レンタル店でもシングルスーツ、ダブルスーツどちらも取り扱いがあります。

ただ、年配の方には「若いのにダブルスーツは失礼にあたる」という価値観を持っている方もまだいますので、ダブルスーツを着て式典などに出席したい際は、事前にリサーチしておくと良いでしょう。

礼服シングルやダブルに格の差や年齢の決まりはない

今回は礼服のマナーに加え、シングルスーツ、ダブルスーツについてご紹介しました。

礼服において、シングルスーツとダブルスーツで格の差や着用する年齢の決まりはありません。

ご自身の好むデザインを着用しましょう。

ただ、特にお悔みの式の際、色や素材には気を付けると良いでしょう。

以前に比べ、礼服を選ぶ幅が広がりました。

店舗にも以前より多数のデザインが並んでいますので、ぜひお気に入りを探してみてください。