日本のビジネスマナーと海外のビジネスマナーの違いとは
2020年02月23日ビジネスマナーは、国によって異なる場合があります。
「日本のビジネスマナー」を、海外で同じように行っても変に思われますし、「欧米のビジネスマナー」を日本の営業マンが行うことで、取引先を失う可能性があります。
では、どのような違いがあるのでしょうか。
海外で働いていて、これから日本で働こうとしているビジネスマンの方や、海外に出張することが多い方に役立つ情報をお届けします。
目次
日本のビジネスマナーと海外のビジネスマナーの違い
さっそくですが、日本のビジネスマナーと海外のビジネスマナーの違いをご紹介します。
●時間はきっちり守る
約束した時間をしっかり守ることは、日本のビジネスマナーの基本と言えます。
待ち合わせ場所があればギリギリに到着するのではなく、10分ほど早めに着くようにします。
上司(先輩)よりも部下(後輩)のほうが早く到着するよう注意することが多いでしょう。
もし遅れるようなら、時間が過ぎないうちに必ず連絡をします。
「なぜ遅れるか」「どのくらい遅れるか」ということも説明します。
●名刺を重視する
名刺の渡し方や扱い方などに海外とは異なる点があります。
日本では、初対面の相手にはまず名刺を渡しますが、海外では握手からはじめることが多いでしょう。
名刺は必ずしも交換しなければいけないものではありません。
「海外の方が戸惑う日本のビジネスマナー」として挙げられることが多いので、くわしくは後ほど後述します。
●よくお辞儀をする
日本においてお辞儀は大切なマナーです。
社内で上司とすれ違う際にも軽く会釈をしますし、来客を出迎える際には深く敬礼をします。
海外では、お辞儀ではなくアイコンタクトが重視されることが多いです。
きちんと相手の目を見ることが、よい印象を与えるのです。
日本の丁寧なビジネスマナーとは
●手土産を持っていく
日本のビジネスマナーとして、取引先やお客様を訪問する際に贈り物を用意して行くことがあります。
お中元、お歳暮などを配ることも一般的です。
手土産を渡す際には紙袋から出して渡し、いただく側はその場では開けないようにします。
海外でも贈り物を贈る文化はありますが、アメリカではビジネスの現場で贈り物をしないようです。
賄賂とされるケースがあるのが、その理由です。
●メールの定型文が細かい
日本のビジネスメールには定型文が使われることが多く、敬語や言い回しが丁寧に決められているので、前置きが無く簡潔だったり、敬語に間違いがあったりするメールに、違和感を感じる方が多いでしょう。
海外では、伝言内容だけを短く伝えるメールが一般的です。
●目上の方を優先する
レディファーストという言葉があるように、海外では、目上の方よりも女性が優先されることがあります。
日本ならOKでも海外だとNGなマナー
●会議(ミーティング)で「空気を読む」
海外では、個人の発信力が重視され、的確な主張ができると有能だと思われるケースが多いようです。
特に、アメリカや中国など多民族から成る国では、しっかりと自己主張する力を伸ばすことがビジネスで役立ちます。
一方、日本では「空気を読む」、つまりグループの中での自分の立場をわきまえることや、その場の話の流れを考えて、柔軟に対応することなどが評価されるでしょう。
誰かが話しているときに、それを遮って反対意見を述べることは、ほとんどないはずです。
また、席次にも決まりがあります。
韓国や中国でもそうした傾向がありますが、上下関係によって、どの席に座るかある程度決められています。
●考えるときに腕を組む
考えるときに腕を組むボディランゲージは、海外では敵対心のあらわれと誤解され、マナー違反になる場合があります。
「こっちにおいで」と片手で手招きするのも、アメリカでは「あっちへ行って」の意味になってしまいます。
●とりあえず笑顔
いつもニコニコしていると、海外では「必要以上に笑っている」「馬鹿にされている」と違和感を感じさせてしまうことがあります。
しかし日本では、笑顔を浮かべないことで「失礼だ」「怖い」と思われてしまうことがあるでしょう。
日本ならではの名刺のマナー
前述しましたが、日本では名刺交換のマナーが細かく決められていて、名刺を大事に扱います。
どのような違いがあるか知っておきましょう。
名刺交換をするタイミングについてはお話ししましたが、日本では最初に行うのに対し、欧米では握手からスタートします。
別れ際に名刺交換をするか、最後までしないこともめずらしくありません。
ドイツやロシアでは、国内の取引で名刺を使う文化自体が無く、外国人相手のときだけ使うようです。
そして名刺を交換した後、日本人はテーブルに置いて、複数の名刺であれば分かりやすいように並べますが、欧米ではすぐにポケットに入れることがあります。
出しておいて何回も見直すという方法は、「日本ならでは」と言えるでしょう。
さらに、日本では名刺をもらったときに、相手の見ている前でそこにメモをするのはマナー違反です。
単純に「紙切れ」ととらえる欧米のビジネスマンとは違い、名刺を大切に扱う傾向があります。
日本のビジネスマナーって変?厳しすぎるマナーも
日本ならではのビジネスマナーに対して、戸惑いを感じるのは海外の方だけではありません。
日本人でも、理解するのが難しいようなマナーやルールがあります。
「取引先の会社を訪問した際にお茶やコーヒーが出されたら、それを飲むと失礼になる」、「飲み会で上司や先輩にお酌をするとき、ビールだったらラベルを上に」など、ご存知ない方もいるでしょう。
立場が上の方と下の方で乾杯するときは、合わせたときのグラスの位置にも注意が必要です。
一昔前は、「女性が男性にお酌をして回る」という不思議なマナーもありました。
しかしながら、欧米では部下がお酌をすることもなく、誰でも自分でつぐかウェイターについでもらいます。
さらに日本では、稟議書や回覧決済などで印鑑を押していくルールも残っています。
書類を順番に回し、ハンコを押して確認していく時間と手間があるだけでなく、ハンコの押し方にさえ細かいルールを課している会社もあるようです。
変化するマナー、変わるべきではない気づかい
上記では、日本ならではのビジネスマナーをご紹介しましたが、近年では、それが変わりつつあります。
上司が考えるマナーと、部下が守っているマナーに差があるとしても、細かく指摘されたり、叱られたりすることは少なくなってきました。
敬語の使い方、身だしなみ、髪の色などのマナーは、多くの企業で基準がゆるくなっています。
それと反比例するように難しくなってきたのが、メールやラインなどのマナーです。
遅刻や欠勤などの連絡を、メールだけで済ますことが許されなかった時代には、必ず上司に電話をするのが一般的でした。
しかし、近年はメールやラインだけで用件を伝えることが多く、「いちいち電話をしなければいけない」ということに、負担を感じる方が多いでしょう。
とはいえ、その会社ごとに決められたルールをきちんと守り、相手に不快感を感じさせないように気をつかうことが求められます。
謝罪、感謝、退職の相談などであれば、直接会って話をしたほうが、よい人間関係を維持しやすいと考えられます。
また、「時間前行動」「電話を早めにとる」など、相手によい印象を与えるマナーは、きちんと守るようにしたいものです。
「郷に入れば郷に従え」がマナーの基本
現代社会においてビジネスマナーやルールは、日本国内でも統一されていないのが現状です。
マナー講師が教えるようなマナーを実践しなければいけない企業だけではありません。
それぞれの場所でのルールがあると思いますので、それに従ったほうが角が立ちませんよね。
とはいえ、マナーには変化も見られます。
欧米化が進む中で、手間がかかる煩わしいマナーは徐々に消えていくかもしれません。