電車の優先席に元気そうな人が座ってる?優先席のマナーとは
2020年02月23日近年、電車での携帯電話規制のマナーが変わりました。
優先席付近で電源を切るのは混雑時だけになりましたね。
ペースメーカーもスマホも進歩して、悪影響が出にくくなっていることが、マナー緩和の理由です。
しかし、マナーが変更される前も、優先席の周りで、スマホやタブレットを使っていた人はいたようです。
優先席でのマナーがきちんと守られないことがあることを、実感している人は多いでしょう。
席を譲る・譲らないという問題もありますよね。
では、なぜマナーを守らない人が多いのでしょうか。
目次
電車の優先席でのマナー!守られないのが現状?
電車の優先席は、お年寄りや障害者、妊婦さんなど、長時間立っているのが難しい人が、満員電車でも座ることができるように設置されています。
赤ちゃんや小さな子供を連れた人、体調が悪くなった人なども優先的に座ることができるとされています。
したがって、優先席でのマナーは「健康なら、大変そうな人に席を譲る」ということで間違いないでしょう。
しかし、電車の利用が多い地域では、それが守られていないのが現状です。
満員電車でも、まだ若く健康な人が優先席に座り、マタニティマークをつけた妊婦さんが立っていることがあります。
「席をゆずるべきお年寄りが何歳からなのか」、「弱い立場の人の優先順位は」など、はっきりと決まっていないことが多々あるので、どう行動すればいいか分かりにくいようです。
また、日本人はシャイな人が多く、知らない人に話しかけたり親切にしたりするのが苦手な傾向があります。
そのことも、優先席がうまく活用されない原因のひとつだと考えられます。
優先席でのマナーは難しい!パッと見ただけでは判断できないケースも
さきほど、「若く健康な人が優先席に座り、妊婦さんが立っている」ということに触れました。
一見、マナー違反な光景ですが、その「若い人」は頭痛で苦しんでいるのかもしれません。
また、妊婦さんのお腹がまだ大きくなくて、妊娠していると気づいていないのかもしれません。
マタニティマークは、それほど目立つものではありませんから、周囲が気が付かないこともありえます。
さらに、妊婦さんは「次の駅で降りるから立っていても平気」と考えているかもしれません。
つまり、電車の優先席では、その場の状況を正しく判断するのは難しいのです。
もちろん、上記の「若い人」が、いつでも優先席に座っていて、弱者に気が付かないふりをしている可能性もあります。
妊婦さんはあきらかにお腹が大きくて、苦しそうにしているかもしれません。
そんな光景を見かけたら、もどかしい気持ちになる人もいるかもしれませんが、横から口を出すのも難しいですね。
近年の調査では、「優先席で席を譲るべきだ」と考えている人が減っているようです。
おそらく、「早く席を譲ってあげて」と言った人のほうを「変わっている」と感じる人もいるでしょう。
海外でも優先席でのトラブルが!日本はマナーが悪い?
優先席でのマナーで意見が分かれるのは日本だけではないようです。
年齢で明確な上下関係がある韓国や、親日家の多い台湾など、若い人が優先席に座っていることでトラブルが発生する国は多いようです。
香港でも、優先席に座った学生が写真を撮られ、ネットにさらされて、非難の的になるという事件がありました。
中には優先席を見回る係員がいて、座るべきでない人が座っていると、立つように促される国もあります。
優先席でのマナーに厳しい国から来た人は、日本の優先席の現状を見て困惑することがあるでしょう。
日本では、どう行動するかはっきりと分かっていて、守らないと社会的な信用を失う「ルール」はきちんと守る傾向がありますね。
震災時の対応や、大規模なイベントでの集団行動などでは、規律正しく行動する人が多いのではないでしょうか。
では、なぜ電車の中で優先席をめぐってトラブルになり、SNSでマナーの悪さについて議論になるのでしょうか?
電車の優先席でのマナーの悪さが目立つ理由
冒頭でも、「どう行動すればいいか分かりにくい」、「シャイな人が多い」ということをお伝えしましたが、電車の優先席でのマナーが悪い原因として考えられることは他にもあります。
●「守るべきマナー」が人によって違う
日本では大多数が信仰する宗教や信じる思想がなく、ネットの普及によって、身近な集団から自分を切り離して考える個人が増えています。
たくさんの価値観がある日本では、個々で考えているマナーも異なると言えます。
思いやりの心や、洗練されたふるまいなども「マナー」と認識している人がいる一方で、面倒なことは極力考えずに、法律で決められたルールだけがマナーだと認識している人もいます。
海外から来て日本で暮らしている人も増えて、日本人ならではの丁寧なマナーが守られなくなる地域も多いです。
自分が当然だと思って守っているマナーと、他人が考えているマナーは一致しないと思ったほうがいいでしょう。
●SNSの普及で「マナーの悪さ」が公になる機会が増えた
スマホで撮影した画像や動画を不特定多数に公開するのは簡単なことです。
公開されたショッキングな出来事は、「誰が撮ったのか」「くわしい状況は」「事実なのか」などが調べられずに広まり、話題になることも多いです。
誰でも記者やカメラマンになれる時代ですから、以前は見過ごされていたマナーの悪さがニュースになる機会も増えたのだと考えられます。
優先席でのマナーが悪い理由
●電車のマナーに対するあきらめの気持ちがある
体調不良や妊娠中でも、優先席に座れなかった経験がある人もいるでしょう。
杖をついた高齢者が立っている光景も、大きな子供を抱っこしている母親が座席をゆずってもらえない光景も目にします。
「電車に乗れば我慢しなければいけない」、「譲り合いの精神を期待するだけムダ」という認識が広がり、弱者にとって厳しい乗り物になったのではないでしょうか。
多くの地域で、「優先席は形だけ」になっているのが現状です。
また、「どの座席でも弱者には席を譲るべき」という意味合いではありますが、「優先席なんて無くてもいい」という声も聞きます。
●電車に乗るのは疲れている人が多い
地域や時間帯によっても変わりますが、電車に乗るのは仕事をしていて疲れていたり、気持ちに余裕のない人が多いでしょう。
周りを見る余裕がなく立ち上がる元気もない人は、席を譲ることが難しいと言えます。
優先席が専用席に!専用席が全国の電車に導入されないのはなぜ?
札幌市の地下鉄では、優先席でのマナーの悪さを重要な問題ととらえて、優先席ではなく「専用席」に変更されています。
1975(昭和50)年4月、高齢者や怪我人、妊婦さん、障害者、乳幼児連れの親などを表わしたマークとともに、専用席と表示される席が設けられました。
遠方から来て、専用席のことが分からずに座ってしまう人もいるようですが、札幌に住む人なら満員電車でも、専用席に若い人や元気な人が座ることはないようです。
しかしながら、乗る隙間もないほど満員になる電車が多い都市部などでは、こうしたルールにならうのは難しいでしょう。
専用席になったら一層、外見では分からない障害や、体調不良などの理由で座ることが難しくなると考えられます。
そもそも、電車のような「途中で自由に降りられない」「他人と近い距離で乗る」「座ってもリラックスしにくい」交通機関は、体が弱い人には選ばれにくいのです。
専用席ができたとしても、それが多すぎるケースもあるでしょう。
特別な事情があっても電車に乗りやすい仕組みが必要
障害、体調不良、妊娠など、自分から言わないと周囲に伝わらないような事情がある場合、電車は決して「乗りたい交通機関」ではありません。
乳幼児を連れていたり、杖をついていたりしても、席を譲ってもらえないことがあります。
座席に座れないとつらい立場の人が我慢をせずに座れるようになるためには、細かいルールを決めないといけないのかもしれません。