礼服の上着のポケットにもマナーがある!ふたの名前や使い方

2019年11月24日

礼服の上着についている腰ポケットのふたにマナーがあることをご存知ですか。

この他、礼服を着用する場面では胸ポケットにチーフを入れますが、このポケットチーフにもいくつかのきまりがあります。

今回は、知っているようで知らない礼服のポケットのマナーをわかりやすくお伝えします。

礼服の上着の腰ポケットについているふたの名前と役割

礼服やスーツの上着の腰ポケットについているふたは雨蓋(あまぶた)英語ではフラップと呼んでいます。

本来の役割は、外出した時にポケットに雨や砂埃などが入らないようにするためのものです。

デザインとしてこのふたの付いたポケットを「フラップポケット」と呼び、ふたの付いていないデザインを「ノーフラップポケット」又は「パイピングポケット」と呼びます。

カジュアルなデザインのジャケットについているのは「パッチポケット」で、日本語では「貼り付けポケット」とも言います。

この他、乗馬用のハッキングジャケットに起源を持つ「ハッキングポケット」は、ふた付きのポケットの切り口が斜めになったものを指します。

また、フタの形も丸みのあるデザインが一般的ですが、アイビースタイルのブレザーのように「スクエアフラップ」、日本語では「角ぶた」と呼ばれる角が四角いものもあります。

礼服のポケットのふたは入れたままにしておくことがマナー

礼服を着用する冠婚葬祭では、ポケットのふたは入れたままにすることがマナーです。

これは慶事でも弔事でも同じです。

一般に礼服と言うとブラックフォーマルを考える方も多いと思います。

礼服にはブラックフォーマルの略礼服の他に、準礼服と呼ばれるタキシードや正礼服と呼ばれるモーニングや燕尾服もあります。

タキシードやモーニング、燕尾服に腰ポケットはありますが、ふたはついていません。

これはモーニングや燕尾服を着用する場面ではポケットのふたが必要なかったからです。

つまり雨や砂埃を心配する状況で着用することを想定しておらず、屋内だけで着用するということを意味します。

したがって、ポケットにフタのついている礼服を着用した時は、ポケットのふたを入れたままにすることがマナーになります。

結婚式の披露宴でのガーデンパーティーやお葬式の出棺など冠婚葬祭でも野外に出る機会はありますが、この場合もポケットのふたは入れたままにします。

ビジネススーツのポケットのふたは出す?それとも入れる?

礼服を着用した際には、ポケットのふたは入れたままにすることがマナーですが、ビジネススーツではどうすれば良いのでしょうか?

屋内で着用する際はポケットのふたは入れたままにし、屋外で着用する際はポケットのふたは出すことがマナーになります。

これはポケットのふたの本来の役割である雨や砂埃が入らないようにするためです。

この他、ビジネススーツでお別れの会や慰霊祭などに参列する際には、たとえ屋外で行われる場合でも、ポケットのふたは入れたままにすることがマナーです。

平服での参加を呼びかけられた場合でも、冠婚葬祭としてとらえて礼服の代わりにビジネススーツを着用していると考えましょう。

ふたをポケットに入れることで、「ノーフラップポケット」になります。

モーニングや燕尾服と同じデザインになることで、平服から略礼服に少しでも格式が近づくことができ、追悼する気持ちを表すことにもなります。

胸ポケットにチーフを入れる時に種類やきまりはあるの?

礼服でふたのない胸ポケットにチーフを入れるのは、慶事の時のみです。

胸ポケットにチーフを入れることはおしゃれの意味合いが強いので、弔事には不適切になります。

また、慶事の時でも胸ポケット入れるチーフは白色のものを使います。

このポケットチーフは、大きさは同じですが、素材の違いでいくつかの種類があります。

最もフォーマルな素材はリネン(麻)です。

光沢が控えめでハリがあり、カチッとした仕上がりになります。

その次に格式のあるものはシルク(絹)のポケットチーフです。

光沢があり、華やかな印象になります。

そして、最もカジュアルなポケットチーフはコットン(綿)素材のものです。

礼服には不向きですが、ジャケットを着用するようなカジュアルなパーティーや結婚式の披露宴の2次会におすすめです。

【林与:ビンテージアイリッシュリネンポケットチーフ】

参考価格:12,000円(税込)

ポケットチーフの世界最高峰といわれた北アイルランドのハードマンズ社のアイリッシュリネンのポケットチーフです。

ハードマンズ社は2004年に紡績工場を閉鎖して以来、アイリッシュリネンは製造していません。

この商品は日本の(株)林与に糸の状態で保存されていたものを、同社が蔵出しして取り組んでいるプロジェクトの究極のチーフです。

【Mungai(ムンガイ):ポケットチーフ シルク】

参考価格:5,400円(税込)

ポケットチーフといえばMungai(ムンガイ)といわれる、イタリアのメーカーです。

高級リネンはもちろん、シルク製もあります。

オシャレなイタリア男性の胸元を飾る代名詞のチーフです。

誰でも簡単にかっこよく決まるポケットチーフをご紹介!

礼服の胸ポケットに入れるポケットチーフの折り方にもいくつかの種類があります。

最も簡単でオーソドックスなTVフォールドは、胸ポケットの切り口と平行にチーフが見えるような折り方です。

フォーマルな席で主賓の際にはスリーピークスがおすすめです。

山が3つあるように折ってあることからこの名前があります。

また、カジュアルな雰囲気はパフドスタイルが似合います。

ふんわりとしたボリューム感がおしゃれに見えます。

そうは言っても、ポケットチーフをかっこよく使えない方も多いと思います。

そこで最初から形に折ってあるものをポケットに入れるだけのチーフもあります。

このチーフを使えば礼服を着用した際に腰ポケットについているふたを入れることだけに気を配ればよくなります。

【Gran creer(グランクレエ):台紙付3ピークスポケットチーフシルク100%】

参考価格:1,350円

日本製のワンタッチタイプのポケットチーフです。

最初からスリーピークスに折ってあり、台紙に固定されていますので、そのまま胸ポケットに入れるだけです。

【Gran creer(グランクレエ):台紙付きチーフ サテンシルク100%ワンタッチ】

参考価格:1,296円

こちらの台紙付きチーフはパフドスタイルです。

一見簡単ですが、実際は難しいパフドスタイルの型崩れの心配もいりません。

色はホワイトの他、シルバー、ネイビー、ワインがあります。

結婚式だけでなく入学式や卒業式の他、レストランでのパーティーなどでも使用できます。

礼服の上着の腰ポケットは膨らまないようにご注意を!

ビジネススーツでも礼服でも、腰ポケットにふたがついていると、どうしても収納場所と考えてしまうこともあります。

しかしポケットが膨らんでいると見た目にカッコいいものではありません。

また、重いものを入れたり、軽いものであっても頻繁に出し入れを繰り返していたりするとポケットだけでなく上着の型崩れにもつながります。

そこで、上着でポケットを使いたい時には、できれば内ポケットがおすすめです。

腰ポケットだけでなく、パンツも後ろポケットにハンカチくらいにしましょう。

特に礼服は着る機会も少ないので、いざ必要になった時に残念な状態では悲しくなってしまいますし、役に立ちません。

スマートフォンや財布などはクラッチバッグを使用すると礼服やビジネススーツの型崩れを防ぐことができます。

【タケオキクチ:クラッチバッグ【WEB限定】ブラック×ブラックレザー】

参考価格:11,880円

パーティーや冠婚葬祭に持ち歩けるクラッチバッグが欲しいという声を受けてデザインされました。

サフィアレザーとカウナッパレザーの質感の異なる2種類の黒色のみのラインナップです。

どこかに置き忘れる心配のある方には、ホルスター型のボディバッグはいかがでしょうか。

入れ方に気をつければ、上着のシルエットに響くこともありません。

小さいサイズはパスポート用ですので、長財布は入りません。

【Blue Fieid:ボディバッグ ホルスター型 シークレットポケット】

参考価格:2,000円

海外旅行用のボディバッグです。

ホルスター型ですので、上着の下に着用します。

脇から下のサイズは370mmです。

このサイズは財布やパスポートはもちろんスマートフォンも入ります。

利き手が右手の方は左肩用、左手の方は右肩用をご使用ください。

基本的なスーツのポケットのマナーは押さえよう!

モーニングをカジュアルに着用する目的でイギリスで生まれたラウンジスーツが、ビジネススーツや日本で略礼服として利用されている礼服の原点です。

イギリスでのスーツのマナーは、日本では伝わり切れていないことも多くあります。

ふたつきのポケットは屋内では入れたままにすることや、胸ポケットのチーフのマナーなど、基本的なマナーを覚えて、颯爽と礼服を着こなしましょう。